そりゃ部下が辞めるわ…上司の「良かれと思って」が逆効果になる3大NGパターン写真はイメージです Photo:PIXTA

組織開発・人材開発・人事コンサルティング支援などを専門とする、上林周平氏の著書『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)から、抜粋・再編集して特別公開します。今回は、部下から成長の機会を奪ったり、孤立させたりする「上司のNG行動」の具体例を紹介します。

「エンゲージメント」が下がると
メンバーの離職リスクが高くなる

 私は20年以上、人材開発や企業研修の現場に携わってきましたが、経営者や人事担当者からよく聞く言葉があります。

「従業員がもっと主体的であってほしい」「自発的に動けるようになってほしい」……この願いは、近年特に切実になっているようです。

 定時で帰る社員、昇進を拒否する社員。やるべきことはやるが、それ以上積極的には関与しない「静かな退職」という働き方。

  このような、ムダに消耗しない働き方が、たびたびメディアを賑わせています。ときには問題であるかのように書かれますが、なぜでしょうか?

 もちろん、定時を過ぎてもダラダラとサービス残業をさせる会社や、仕事量と報酬が見合わないブラックな会社は論外です。そのような環境では、身を守るために「静かな退職」を選択する人もいるでしょう。

 またホワイトな環境であっても、決められた仕事を効率よく行い、仕事以外の時間を充実させるという個人の選択は、悪いこととはいえません。

 では何が問題かというと、エンゲージメントの低下に伴う競争力の喪失です。もし企業が競争力を失っても社員には転職の道がありますが、企業はそうはいきません。

 そのため多くの企業は今、エンゲージメントの向上に力を注いでいます。企業におけるエンゲージメントとは、「個人と組織のビジョン・成長が重なり合い、お互いに関係性を続けたい、貢献したい気持ち」という意味合いです。

 お互いにというところがポイントではありますが、企業側が特に求めているのは個人の仕事に対するモチベーション、あるいは主体性、もっとおおざっぱに言えば「やる気」といってよいでしょう。

 エンゲージメントが低ければ、メンバーの離職リスクが高くなります。それなりに長く在籍していても“辞める理由がない”だけですから、少しでも嫌なことがあったり、ほかによさそうな会社があったりすれば、あっさりと辞めてしまいます。知識や経験を積んだコアな人材が抜けてしまうのは、企業にとって大きなダメージです。