それだけでなく、業務の質や効率、創造性もどんどん下がっていきます。たとえエンゲージメントが低くても、メンバーは指示された仕事はこなしてくれるでしょう。
ただ、指示されていないことはやらない傾向になりがちです。報告や提案、改善や工夫など、「やれ」と言われたこと以外で本人に判断がゆだねられたとき、「まあ、やらなくてもいいか」と考えてしまいます。
一つひとつは小さなことであっても、こうした症状が職場を静かに侵食し、全体の質や効率、創造性が失われていくのです。
『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム、上林周平著、税込1760円)拡大画像表示
部下がやる気をなくす
上司の「3大NG行動」
実は、日常のふとした行動でも、エンゲージメントを落とすことにつながる小さなすれ違いが、職場では静かに積み重なっています。そのなかでもよくやってしまいがちな3大行動を少し見てみましょう。
(1)「いいよ、やっておくよ」と仕事を引き取る
部下の負担を思って「いいよ、代わりにやっておく」とタスクを引き取る行為。これは、一時的には助けになりますが、繰り返すと「自分には期待されていないのかも」という印象に変わり、主体性と成長意欲を下げてしまいます。
また、プレッシャーをかけたくないと丁寧に仕事の範囲を区切って、その範囲の仕事だけを渡すのも、部下は「なぜこの仕事が大事なのか」がわからず、やらされ感を抱きやすくなる原因となります。
こうした背景もあり、「上司はいい人ですけど、成長した実感がないんです」と話す若手社員も増えています。関係は円滑でも、成長の手応えがなければ「……」となり、この職場にいる意味を見出せなくなるのです。
(2)「いつでも相談してね」と言う
「いつでも相談してね」は、一見、部下思いのセリフに聞こえますが、「何を・いつ・どこまで相談してよいのか」が曖昧なままでは、部下にとっては「相談しづらい」言葉になります。
上司の忙しさを気にし、言い出すタイミングを迷ううちに、結局孤立してしまうケースもあります。(1)にも通じますが、一見「優しさ」に見える行動は、実は表面的な「優しさ」でしかなく、部下のやる気を落としてしまうのです。
(3)感謝や、褒める言葉を言わない
(1)や(2)とは逆方向の行動ですが、「この程度で褒めたら、基準が下がる」と考えて感謝や褒める言葉を伝えないリーダーは多いです。しかし、スルーは無関心と紙一重です。成果が出たこと自体よりも、「見てくれている」「認めてくれている」という実感こそが、やる気を支える土台です。
3つの行動に共通しているのは、どれも上司が「良かれと思って」行っていることだという点です。だからこそ厄介で、だからこそ誰もが陥ります。







