工場建設に着手、万博向け納車で躍進に期待
設備や開発費の資金集めも進み、EVMJは2023年、満を持して日本初の商用EV専用の組み立て工場の建設に着手した。海外OEM先から輸入したパーツ類の最終組み立てを行い、年産1500台を目指す計画で、総投資額は100億円を見込んだ。
組み立て工場が完成すると技術のアップデートや有事の迅速な対応も可能になる。この施設をEVMJは「ゼロエミッション e-PARK」と名付け、体験型EV施設を併設し、事業のシンボルに位置付けた。
2024年12月、組立工場の第1期工事が完成した。お披露目会には、行政関係者、金融機関、取引先など総数約350人が参加し、地元の大きな期待がうかがえた。
また、販売面では2023年1月、全国に先駆けて大型EV路線バスを四国・伊予鉄グループに納車した。このほか、地方のバス会社や自治体などに納車実績を積み重ねていった。
もっとも、このタイミングで組み立て工場はまだ完成しておらず、独自の技術を活かしたとはいえ、EVバスの生産はすべて中国のパートナー企業に全面委託していた。
そして、2023年6月、EVMJの名前は全国的に知られることになった。2025年4月から開催される大阪・関西万博の輸送バスとして、大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)が商用EVの採用をEVMJに決定したからだ。販売車両は最終的に191台に及び、これまで数台単位だった納車とはケタ違いのボリュームとなった。
ところが、大阪・関西万博が最終盤に迫った2025年9月、納車したEVバスが走行中に車両が急停止したり、ドアの開閉不良など、複数の不具合が明らかになった。
この問題を受け、国交省はこれまでに自治体やバス会社などに納入した合計317台(45企業・団体)の「全数点検」を要請し、10月には同省がEVMJに立ち入り検査を実施する事態に発展。全数点検で、3分の1以上にあたる113台の不具合が確認された。
人命を預かる製品の特性上、安全性への信頼はなによりも優先されなければならない。EVMJは安全性強化に向けた再発防止策を策定し、85台のリコールを届け出た。そして、2026年3月に代表取締役が交代し、経営体制を刷新した。
だが、大阪・関西万博で使用されたEVバスのトラブルが相次いだことで、大阪メトロは今後の使用中止を発表した。万博後、使用されないまま大阪メトロの敷地内に大量に並んだEVバスをマスコミ各社は「EVバスの墓場」として大きく報じた。さらに、4月1日に大阪メトロから契約の解除を突き付けられた。
業歴が浅い企業だけに、安全性の信用失墜は業績に直結した。さらに、損害賠償請求も避けられない事態となったことから、民事再生法で再建を目指すことを決断した。








