ホンダ危機#8Photo by Shotaro Imaeda

ソニーグループとホンダの合弁会社であるソニー・ホンダモビリティ(SHM)が、期限を定めない「休眠」に追い込まれる。日本を代表するモノ作りの会社のタッグによるEV(電気自動車)の開発は、わずか3年半で終焉を迎えることとなった。SHMはソニーとホンダの折半出資で運営されてきたが、実はその挫折が親会社に与えるダメージには、ソニーとホンダで大きな差がある。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集「ホンダ危機」の#8では、SHM「休眠」の全貌を明らかにするとともに、ソニーとホンダのタッグの挫折が両社に与える影響を検証する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

新技術をAFEELA以外に活用する道を模索もめど立たず
SHMの社員は原則全員ソニーかホンダに再配置

 4月21日、ソニーグループとホンダの合弁会社で、EV(電気自動車)の開発・製造を手掛けるソニー・ホンダモビリティ(SHM)が「事業の縮小」を発表した。これがホンダのEV戦略見直しに伴うものであることは明白だ。

「縮小」と言ってはいるものの、SHMは「従業員については、本人の希望を踏まえた上で、原則として全員を両親会社等へ再配置します」としている。ソニー、ホンダからの出向者は原則“古巣”に復帰し、SHM入社の社員は本人の希望を受けてソニー、ホンダのどちらかへ配属される。一部社員は残務の処理でSHMにとどまるものの、それが片付き次第、いずれかの親会社に再配置される。つまり、SHMは期限を定めない「休眠」に追い込まれたといえる。

 SHMは、ソニーのエンターテインメントの知見と、ホンダのクルマ作りの技術を融合させたEVメーカーとして2022年に設立された。SHMのEV「AFEELA(アフィーラ)」では、車体にホンダの技術が生かされているのはもちろん、ソニー製のイメージセンサーが40個搭載されているほか、車内が音楽や映画を楽しめるエンタメ空間になるなど、両社の知見が詰め込まれていた。

 ソニーやホンダのみならず、国内自動車業界全体の期待を背負ったSHMは、いったいどのような経緯で瓦解していったのか。SHMの休眠が両親会社に及ぼす影響も気になるところだ。

 次ページでは、SHMやホンダ幹部への取材から浮かび上がったSHM「休眠」の全貌を明らかにするとともに、ソニーとホンダのタッグの挫折が両社に与える影響を検証する。