ROEでもROICでもない…絶好調アシックスが重視する「意外な指標」とは?Photo: Edward Berthelot/gettyimages

経営不振から過去最高業績へと「V字回復」を遂げたアシックス。そんな同社が重視しているKPI(重要業績評価指標)の一つが、ROA(総資産利益率)だ。ROEやROICを重視する企業が多い中、ROAにこだわる理由とは。また、そんなROA経営の“強者”アシックスの弱点とは何か。決算書からひもといていこう。(中京大学国際学部・同大学院人文社会科学研究科教授 矢部謙介)

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アシックスでは経営方針を
KPIにどう落とし込んでいるか?

 前編『株価は4年で7倍!アシックスが経営不振→過去最高益に「V字回復」できたワケ』では、アシックスの経営改革の概要と、KPI(重要業績評価指標)マネジメントの効果、そしてビジョンや経営方針とKPIを整合させることの重要性について解説してきた。

 では、ここからはアシックスがビジョンや経営方針をどのようにKPIに落とし込んでいるのかを見ていこう。次の図は、アシックスの2024年から26年にかけての経営方針を示した「中期経営計画2026」の全体像とKPIの関係を整理したものだ。

図表:アシックスの中期経営計画とKPIアシックス「中期経営計画2026」より筆者作成
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 アシックスは、ブランドスローガンである「Sound Mind, Sound Body」のもと、30年に向けたビジョンを「誰もが一生涯、運動・スポーツに関わり、心と身体が健康で居続けられる世界の実現」としている。

 そして経営方針として「Global Integrated Enterpriseへの変革」を掲げるとともに、それを支える3つの重点戦略として「グローバル成長」「ブランド体験価値向上」「オペレーショナルエクセレンス」を挙げている。

 つまり、グローバルにおける成長、ブランド体験価値の向上、そして卓越したオペレーションを通じて、グローバルに統合された企業体となることにより、アシックスが目指すような世界を実現することに貢献したい、というメッセージが込められていると解釈できる。