日本全国で地道に認知度を上げる

 2年目、3年目、4年目と入場者数1000万人を着実にクリアすることができましたが、その背景にあったのが、地方都市への積極的なマーケティング活動を継続したことだと考えています。

 事あるごとに地方都市に出向き、身近に感じてもらう、そして東京ディズニーランドに来てもらうためのアプローチを続けていました。
 地方で何かイベントがあるたびに、仕掛けを組んでいました。なにかニュースを聞きつけたら、ミッキーマウスを送り込んでいました。というのも、地方のこうしたニュースの多くは地方局のテレビに取り上げられますから、同時にそこにいるミッキーマウスも映してくれるのです。

 当時を振り返ると、こうした取り組みをとにかく繰り返していた、という印象があります。何度も何度も、取り上げてもらう。一度露出したからOK、ではないのです。ここでも「これでもか、これでもか」でした。

 そうすることで、生まれたときからディズニーキャラクターがそこにある、という感覚の人たちが日本にどんどん増えていったのです。

 こうなって初めて、ディズニーは次のステージに向かうことができるようになりました。ディズニーランドの存在をアピールする必要はもうない。それよりも、今、東京ディズニーランドでは何が行われているのか、を伝えていく。今度の新しいイベントは何か。目玉グッズは何か、新しいメニューは……。そうした、情報提供へとステージが変わっていきました

 この活動を後押ししたのが、開業時からずっとコツコツと続けていた地方キャラバンでした。ミッキーマウス仕様で作ったリムジン「リマウジン」や卵形のキャンピングカーを使って、主要都市を回っていく。

 私も相変わらず地方を回っていましたが、面白かったのは、固定ファンができていったことでした。「あれ、この人はあの街でもいたぞ」という人がいたりする。かっこいいダンサーのおっかけも現れたりする。そういう人が、今度は東京ディズニーランドでおっかけをしている。

身近になり、ファンになって、そしてリピーターになっていく、そんな空気を作り上げていったのです。しかも、首都圏ではなく地方都市で、です。これは、じわじわと効果を生んでいくことができました。