学生から地下格闘技の選手まで…
一般人を吸収して巨大化するトクリュウ

 暴力団の活動が鈍化した2010年以降、半グレの活動は活発になりました。警察は、2013年3月、半グレが集団で常習的に暴力的不法行為に関与しているとして、怒羅権や関東連合等のグループを準暴力団と位置づけ、実態解明に乗り出しています。

 以降、半グレの裾野は広がり、もはや暴走族OBによるグループだけではなく、様々な背景の一般人を吸収する病理集団となっています。

 この集団にはたとえば、闇バイトに応募してきた学生や会社員などの青少年、多重債務者(特殊詐欺の受け子や掛け子、アポ電強盗の実行犯等)、正業を営みつつ仲間集団で犯罪に従事する者、地下格闘技の選手でありながら犯罪に手を出す者、偽装離脱や社会復帰に失敗した元暴アウトローなどがいます。昨今では、外国人の検挙者も散見されています。こうした現状に警鐘を鳴らすべく、筆者は『だからヤクザを辞められない――裏社会メルトダウン』で、裏社会の実態を紹介しました。

 半グレには当局から準暴力団として位置付けられているグループやメンバーも存在します。しかし、多くの場合は規模も小さく、グループ名も持たず匿名で活動しますから、その実態の詳細は掴めていません。

 しかし、溝口氏の言葉を借りると、半グレの脅威は「彼らが行う殺し合いではなく、経済犯罪であり、経済犯罪を匿名で行う」ことにあり、「半グレの怖さは粗暴さにあるのではなく、経済犯罪を敢行する悪知恵にある」のです(溝口敦『新装版 ヤクザ崩壊 半グレ勃興――地殻変動する日本組織犯罪地図』講談社+α文庫、2015)。

『ヤクザが消えた裏社会』書影ヤクザが消えた裏社会』(廣末 登、筑摩書房)

 このように半グレの定義は定めがたいのです。10代の不良も、20代の青年も、40代の元暴アウトロー(社会復帰に失敗した暴力団の「真正離脱者」や、計画的な「偽装離脱者」)も一緒くたにして、半グレと括るのは、ちょっと大雑把すぎるのではないかと考えます。

 しかし、彼らを語るに際して、それ以外に何か適切な呼び名があるのかといわれると、確かに難しいものがあります。だからかもしれませんが、当局は、2023年7月に刊行した「警察白書」以降、半グレと準暴力団をまとめて「匿名流動型犯罪グループ」と称するようになりました。

 確かに、匿名で犯罪に従事する半グレにはピッタリな呼び方です。しかし、単に仲間でたむろして、大麻を嗜んでいるような犯罪性が薄い人たちまでトクリュウと括ることには違和感を覚えます。

 ここでいうトクリュウとは、「匿名流動型犯罪グループ」とありますから、犯罪に従事しているグループです。ですから、それは属性要件ではなく、(犯罪という)行為要件に該当する者なのです。