暴力団離脱者(と、その家族)は「反社」と社会からカテゴライズされ、社会権すら極端に制限されている現状があります。こうした極端な社会権の制限は、暴力団や暴力団の枠から外れて犯罪活動に従事する「偽装離脱者」を念頭に置いた対策であることは理解できます。

 しかし、再出発を期してカタギになりたいと願い、主体的に暴力団を離脱した真正離脱者には柔軟な対応が求められると思います。なぜなら、折角、更生しようと思って離脱した真正離脱者が、カタギとして生きなおしができず、生活困窮のあげく、生きるために元暴アウトローとして犯罪に従事してしまう可能性があるからです。

 筆者は、法務省の就労支援に従事した経験から、個々のケースを見ずに「もともと暴力団に在籍していたのだから、更生なんかできない、再犯の可能性が高いだろう」という偏見のもと「反社」と一括りに扱うことに対して違和感を覚えます。とりわけ法務省は、「誰一人取り残さない社会」を標榜しているのですから、元暴力団を「反社」とラベリングし、社会的排除する風潮を容認しては、自らの主張と矛盾が生じます。

暴力団員が減っても
浄化されないアングラ社会

 たしかに、暴力団排除条例(以下、暴排条例)の施行が全国で完了した2011年以降、暴力団員は減少の一途をたどり、2011年に7万300人いた暴力団構成員数(準構成員も含む)は、2024年末現在で1万8800人と過去最少になりました。筆者は、暴対法ではなく、暴排条例こそがヤクザの斜陽を決定づけたと考えています。

 しかし、ヤクザが減れば、アングラ社会が浄化されたのか。その答えは、読者の皆様がよくご存じだと思います。

 半グレや準暴力団がはびこり、匿名流動型犯罪グループが跳梁し、暴力団ですら手を出さなかった未成年が犯罪に巻き込まれ、昨今では全ての年齢層が犯罪被害に遭う特殊詐欺や強盗が、日常の脅威となったのです。2024年中に検挙された者は、暴力団構成員等の8249人に対して、トクリュウは、1万105人でした(時事ドットコムニュース2025年4月3日)。