それは「生産性の低い小さな会社が多すぎる問題」だ。

 日本経済が低迷している要因のひとつに、「賃金が諸外国に比べて異常なほど低い」ということに異論を挟む人はいないだろう。これは消費税がどうこうという話以前に、生産性が低くて賃上げできない小さな会社が圧倒的に多いからだ。

 日本企業の99.7%は中小企業で、その中でも8割以上は小規模事業者*(サービス業5名以下、製造業・建設業などは20名以下)である。日本人の7割は中小企業で働いている(2024年時点 中小企業庁)。

 大企業が春闘でどんなにベアを達成しても、日経平均株価が過去最高をマークしても我々庶民の生活がラクにならないのはこれが理由だ。全体の0.3%にすぎない大企業がいくら景気が良くなっても、日本人の3割が賃金が上がっても、99.7%の中小企業にトリクルダウンなど起きるわけがないし、日本人の7割には大した影響がない。

 だったら積極財政で小さな会社を支えて賃金を上げさせればいいじゃないか、と思う人も多いだろうが、それをやっても単なるバラマキで終わる。

「成長しない小さな会社が多すぎる」からだ。

 経済というのは競争が活性化することで成長していく。つまり、新しい会社がどんどん開業して、古い会社が廃業や吸収・合併されていくという「新陳代謝」が必要不可欠なのだが、日本は異常なほどない。

内閣府 日本経済2020ー2021 ポストコロナに向けた企業活動の活性化と課題」の中でも、日本の開業率は4〜5%台、廃業率は3%台で推移している。他の先進国が10%前後というところと比較して「我が国企業の新陳代謝は非常に低くなっている」と結論付けている。

 つまり、この「失われた30年」で日本経済が低成長しかできず、我々の賃金がビタっと低いまま固定され、平均年収で韓国にも追い抜かれていくというのは、日本人の7割が働く中小企業の多くが新規参入業者とヒリヒリするような生存競争を繰り広げることもなく、昔ながらのビジネスモデルと昔ながらの働き方でなんとなく会社が存続できてしまう「現状維持」に流れていたせいでもあるのだ。

 ただ、このどうしようもない「閉塞感」をAIがぶっ壊してくれるかもしれない。