デザインや印刷業務を展開する高速オフセットが10〜70代の390人を対象に、旅行先のインフォメーションセンターやホテルで観光案内を求めるとき、AIと人間のどちらがいいかを調査した。その結果、「人間」と回答した方が2倍以上多かった。
こちらのニーズを正確に読み取ってスピーディーにさまざまなプランを提示したり、観光地の情報を探したりしてくれるという点では、高性能AIに軍配が上がるはずだ。しかし、「人間」を選んだ人が求めているのはそういうことではなくて、「現地の人と触れ合って旅の思い出にしたい」とか「人間の案内ならではの予期せぬ出会いやハプニングに期待している」ということだ。
こういう体験を提供することは、ミュトス級のAIでも難しいだろう。むしろ、AIが人間の能力を追い越して進化していくほど、人間にしかできない「血の通ったやり取り」の価値が見直されていくだろう。
そして、大事なのはこのようなサービスは、個人事業主や社員3人のような零細企業でも十分できるということだ。むしろ、ここを磨いていけば、AIには決して代替できない「強み」にできる。
戦争が始まれば反戦運動が盛り上がるように、物事にはなんでも「反動」がある。ミュトスのような高性能AIが普及すれば当然、その対極にあるような分野が盛り上がる。
日本の中小企業は長く、海外に比べてデジタル化が進んでおらず、属人化され非効率だと批判されてきた。確かにそういう「弱み」があるのは事実だが、ここまで世界でAIが急速に進んでしまうと、AI導入が中途半端にしかできていないというのは「弱み」だ。
しかし、分野によってはあえてAIに頼らず、「人間らしさ」に全振りをするような戦い方をすることは、逆に独自性がでて「強み」になる。これがホントの「ピンチをチャンスに」である。
AIが得意な事務処理や分析は徹底的に任せる。一方で、観光、接客、地域密着サービスのように、人間がもたらす偶発性が価値になる領域は磨く。この切り分けができる中小企業が、AI時代に生き残るのだろう。
「日本に行くと、祖国ではAIがやっていることをみんな人間がやっていて感動したよ」
「AIが数分でやってしまうことを、日本の会社では半日かけてゆっくりやるんだ、すごくクールだよ」
我々にとってはちょっぴり複雑だが、そんな「日本スゴイ論」が世界を席巻する日も近いかもしれない。








