ノートパソコンを操作する男性と資料を持つ女性写真はイメージです Photo:PIXTA

長引く出版不況のなか、数多の新人作家がデビューしては消えていく。そんな過酷な競争のなか食っていくには「元手がかからない作家こそ出費をすべきだ」と直木賞作家の今村翔吾は語る。社員を雇い事務所を構えるなど、あえてコストをかけるその真意とは?※本稿は、作家の今村翔吾『作家で食っていく方法』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

20年前と比べて
紙の本の市場はほぼ半減

 国内の書店は、この20年で約2万店から約1万店に半減しています。

 書店の規模の大小があるため、単純には言えないものの、売り場面積も半減したということです。当然、文芸の棚も半分になった。作品の置き場所・売り場所が、業界が元気だった頃に比べて半分になっていると考えていただいて結構です。

 紙書籍の販売額は、ピークの1996年以降、基本的には右肩下がりの傾向。1兆円超の市場が約6000億円の市場となっていて、こちらも半減したと見て取れます。

 電子出版は統計開始の2014年から右肩上がりで伸びていますが、恩恵を受けているのは漫画です。2024年の数字で5660億円規模の電子出版ですが、内5122億円が漫画。書籍は452億円で、449億円を記録した2021年以降、ほぼ変わりなく、頭打ちと言っていいでしょう。漫画ですら市場の成長は鈍化しており(以上、出版科学研究所調べによる)、このままだと早晩、電子出版市場全体も頭打ちになります。

 読書離れの実態については様々な見方があるものの、材料費や物流費の高騰により、ここ数年で書籍の定価も一気に上がっています。物価高騰に賃金上昇が追いつかない現代において、不要不急の小説は、ますます買われなくなる可能性があります。