チームの信頼関係を維持して
生産性を高める方法

 では、どうすればよいのか。

 信じて任せる代わりに、目標を共有するのです。上司が部下を監視したり、過度にコントロールしたりしないのは、放任ではありません。いつまでに、どんな成果を、どのクオリティで上げるのかを上司と部下で一緒に明確に決めておく。この目標さえしっかり設定できていれば、達成度で適切に評価できます。

 ただし、完全に放置するのはよくありません。週に一度、目標の進捗を確認し、軌道修正やアドバイス、フォローアップを行う15分程度の1on1を実施しましょう。半期に一度の振り返りでは修正が遅すぎるからです。

 毎日では監視に近くなるので、週次で15分くらいが適切でしょう。リアルタイムフィードバックとも呼ばれるこのスタイルが、オンラインマネジメントの基本として定着しつつあります。

 途中でさぼっていても成果が出ていれば問題はない。むしろ生産性が高くなったと考えることもできます。逆に成果が出ていなければ、その事実をもとに具体的にフィードバックできます。

 コロナ禍で「テレワーク下での評価が難しい」と悩んだ会社の多くは、それまで社員を行動で評価してきたのです。これをきっかけに、評価の軸を行動から成果へ、定量的に測れるものへとシフトさせた組織は、結果としてマネジメントの質を高める機会を得たとも言えます。

 ひとつ、注意点があります。

 オンライン上で共に働くチームは、対面のチームよりも、信頼関係がパフォーマンスに与える影響が大きいのです(※3)。リモートで働く人たちこそ、信頼関係の構築に意識的であるべきなのですが、実際には、リモートチームほどそれぞれが自分のタスクをこなすことに集中してしまいがちで、チームとしての関係性を育てることが後回しになります。

 この問題に対しては、職場ではない場所で開催するオフサイトミーティングを設けることも、信頼関係構築に大きく寄与します。普段と違う場所に出向くことで、メンバーの気持ちが解放され、創造性が刺激され、オフィスとは違う質の会話が生まれます。半年に一度、観光地のホテルで会議室を借り切り、そこでメンバーが普段どおりに仕事をするという一泊二日の社内合宿のような取り組みをしている企業もあります。

 月に一度、全員でお弁当を持ち寄って昼食をとる機会を設けるだけで雰囲気がよくなった職場もあります。同じ時間を共有し、ちょっとした雑談をするだけで、オンラインだけでは築けない関係性の厚みが生まれるのです。

 監視カメラの前にいる部下は働いているふりをするかもしれません。他方、信頼されていると感じている部下は、誰も見ていないところでも「自分のため=組織のため」と考えて自律して働きます。両者の違いが、数年後に組織の生産性と業績に、取り返しのつかないほどの格差をもたらすのです。

【参考文献】
※1 George B. Graen & Mary Uhl-Bien (1995) “Relationship-based approach to leadership: Development of LMX theory of leadership over 25 years” The Leadership Quarterly, 6(2), 219–247
※2 Niehoff, B. P., & Moorman, R. H.(1993)“Justice as a Mediator of the Relationship between Methods of Monitoring and Organizational Citizenship Behavior.” Academy of Management Journal, 36(3), 527–556.
※3 Kanawattanachai, P., & Yoo, Y.(2002)“Dynamic Nature of Trust in Virtual Teams.” Journal of Strategic Information Systems, 11(3–4), 187–213.

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