原田泰造にシソンヌじろう…日本の朝に芸人が必要なワケ〈風、薫る第45回〉

どういう意味?「家事だと思ってやらないと間違えるよ」

 寛太は直美に頼まれた彼女の母の情報を仕入れてきた。直美は、さらに母が自分に残してくれたお守りゆかりの神社を探してほしいと頼む。

「わかってんのか? あんた、俺にすげえ弱み握らせてるけど、俺だぞ?」

 俺に借りを作ったらあとがこわいぞ?的なことを言ってすごんでみせる寛太。そんなことを言う人に悪い人はたぶん、いない。

 それにしても、卯三郎(坂東彌十郎)はりん(見上愛)にリターンを求めるし、『風、薫る』の登場人物はやけに貸し借りにこだわっている。

 フユ(猫背椿)は家に帰り、夫が急須の水を飲んでいないことに気づく。りんたちに言われてはじめて夫の涙ぐましい努力(お手洗いにいかなくて済むように水を飲まない)を知った。そして、その夫からりんたちが、フユの仕事は「なんかなんかじゃない」と言ってたと聞き、表情が変わる。

 フユはりんに手術介助のやり方を教えることにする。

「こんな病院“なんか”で長い時間働いていたくないの」「これ以上疲れたく“なんか”ない」「私が楽になるって気が付いたから」という理由で。他人に意地悪するより、自分のほんとうにやりたいことに時間を割けるようにしたほうがポジティブだ。

 これまでギスギスしていた看病婦と看護婦の仲が急速に和らいでいく。

 喜代(菊池亜希子)が患者の赤ん坊を預かることをとがめたツヤ(東野絢香)も、実は自分も子どもが産めず離縁されたと自己開示する。一瞬の出番の赤ん坊がかわいかった!

 ヨシ(明星真由美)は、柳田しのぶ(木越明)にガーゼの切り方を教える。しのぶは「恵まれた日本橋の呉服店の美人姉妹の四女」と自己紹介するような天然お嬢様。ヨシに「むしろ、金持ちの子が同じ仕事をしてることを認めてほしいですわ」などと言うが、そんな言い方がトラブルに発展することはもうない。

 あれよあれよという間に打ち解けていく人たち。澄んだ高音の女性ボーカルの劇伴が流れ、清らかなムードに満ちていく。

 フユは重要なことをりんに教える。

「この仕事はね、家事だと思ってやらないと間違えるよ」

「いや、看護は命に関わる仕事で家事とは(違う)」と言うりんに、にやりと笑うフユ。

 その真意は、家事のように当たり前に力まずやるということであろう。特別なことだと思って力むとうまくいかなくなる。でもそのためには何度も何度も繰り返しやること。あらゆる仕事に通じる極意だと思う。