頑張っているのに、なぜか突き抜けられない。そんな壁を感じたことはないだろうか。知識も増やしているし、経験も積んでいる。それでも、結果を出し続ける人との間には、埋まらない差がある。その違いは、「努力の量」ではない。
では、何が重要なのか。『会社から期待されている人の習慣115』の著者であり、815社・17万3000人の働き方を分析してきた越川慎司氏と、『仕事ができる人の頭のなか』の著者であり、累計195万部を突破したベストセラー作家の木暮太一氏による対談に、その答えがあった。それは、一見すると遠回りに見える。しかし、多くの人がやらないその行動こそが、圧倒的な差を生み出していたのである。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

【ベストセラー作家も驚いた】結果を出し続ける「天才」がやっている“小さな習慣”・ベスト1Photo: Adobe Stock

結果を出し続ける「天才」がやっていること

越川慎司(以下、越川):本のテーマとは関係なさそうなものも漁る。私は、これがAI時代における作家の生き残る道なんじゃないかと思っています。

 AIは単純平均製造装置なので、どうしても当たり障りのないコンテンツを出してくる。でもヒット作を分析すると、新奇性とか再現性とか、AIが出してこないような「はずれ値」が入っているんですよね。

 木暮さんはどう見ていますか。

木暮太一(以下、木暮):そこまで明確に言語化して考えていたわけではなかったですが、私の根底にある考え方にも重なります。

 アイデアというのは、何かと何かの掛け合わせで生まれるものだと思っていて、その「何か」が異色のものであればあるほど、今までになかった化学反応が起きる。

 哲学的な言い方をするとアウフヘーベン、止揚ですね。三角形で言えば、底辺の線が長ければ長いほど頂点が高くなる。

 だから、できるだけ違うものを意図的に選んで取り入れることを、昔からやっています。

越川:イノベーションという言葉の生みの親であるシュンペーターが「新結合」と言っていることと同じですね。異なる要素を足したり掛けたりすることで新しいものが生まれると。

木暮:まさにそうです。

 私は言語化というキーワードを軸にしていて、もともと経済学出身でもあるので、言語化と経済学を掛け合わせれば新しい切り口が生まれる。

 言語化と格差の問題を組み合わせれば、言語化できる人とできない人の差が社会的な格差を広げているという論点が出てくる。

 異なるものを組み合わせれば、コンテンツは尽きません。

越川:かつて『嫌われる勇気』を手がけた編集者の柿内さんと一緒に本を作ったとおっしゃっていましたよね。

木暮:柿内くんと本を作るのは、正直ノイローゼになるくらい大変でした(笑)。言っていることがよくわからないんですよ、天才すぎて。

 でも彼が頻繁に言っていたのが、「素人の感覚を忘れてはいけない」ということでした。彼のキャッチコピーは「史上最強のプロの素人」で、素人を極めるために常に新しいものに接し続けることを非常に重視していた。

 私の考え方と近いものがあります。

越川:関係なさそうなものに意図的に触れ続けることで、常に素人感覚を持ち続けるということですね。

木暮:そういうことです。

 プロになりすぎると、読者である素人の感覚からどんどん離れていってしまう。常に異色のものに触れることで、自分の中に素人の目線を保ち続けられます。

天才こそ、「仕事と関係のないもの」に触れている

越川:その話を聞いて、私が『会社から期待されている人の習慣115』でとりあげた習慣を思い出しました。

 職場で評価されている優秀な人たちは、休日にあえて「自分の仕事と関係のない人」と会うようにしていたんです。

 調査によると、期待されている人の61%が、休日に仕事と無関係な人と会うように心がけていることがわかりました。
 月に3回以上、休日に仕事外の人と触れ合っている人も68%います。
 学生時代の友人、趣味のコミュニティの仲間、地域の活動で知り合った人。こうした人たちとの継続的な交流を大切にして、休日を「社外のつながり」という社会資本を積み上げることに活用していたのです。

――『会社から期待されている人の習慣115』より

 多くのビジネスパーソンが、気づけば仕事中心の人間関係に閉じています。会社の同僚や取引先との付き合いが増える一方で、人間関係は固定的になっていきます。

 ですが仕事と関係のないフラットな関係を築き、体験をし、視野を広げて社会資本を増やし、クリエイティビティを磨くことが、結果を出し続けるために大事なのかもしれませんね。

(本稿は、『会社から期待されている人の習慣115』の著者・越川慎司さんと、『仕事ができる人の頭のなか』の著者・木暮太一さんによる対談をもとにした書き下ろし記事です)

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。

木暮太一(こぐれ・たいち)

言語化コンサルタント・作家・(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事

著作累計68冊、累計195万部突破。14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。