時代とともに変化してきた
財布の存在意義

 財布の変化は、今にはじまったことではない。戦後の昭和から平成、令和にかけて、財布の役割は変わってきたという。

 昭和における財布は、とくに戦後からバブル期にかけて「ステータスの象徴」だった。

「当時は完全な現金主義社会。1万円札がぎっしり詰まった、長くて分厚い財布を持つのが成功者の証でもありました。その影響もあってか、1980年代のバブル期には、ルイ・ヴィトンやシャネルなどのハイブランドの財布を見せつけるように持つのが流行しましたよね。一方、実用性を重視する人には、小銭を素早く取り出せる『がま口』が根強い人気を誇っていました」

 さらに風水ブームの影響で「黄色い財布は金運が上がる」といったイメージも広がる。財布は単なる収納道具ではなく、“運気を呼び込むアイテム”としても扱われていたのだ。

 しかし、バブル崩壊後の平成では「実用的な管理ツール」として認識されるように。

「平成はポイントカードやクレジットカードが爆発的に普及。増えつづけるカードやレシートをどれだけきれいに収納できるかが、財布選びのポイントに変化したんです。そこで支持されたのが、財布の外側をジッパーで閉じる『ラウンドファスナー長財布』でした。カードやレシートを大量に入れても、見た目はスマート。家計管理アイテムとしても機能していました」

 また、2010年に出版された『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』(亀田潤一郎/サンマーク出版)がベストセラーに。同書をきっかけに“デキる大人は収納力がある長財布を使う”という価値観が定着したのも、平成の特徴だったという。

「そして令和になると、あっという間にスマホ決済が浸透。手のひらサイズのミニ財布や、カードケースが主流になったのです。家計管理アプリも普及し、レシートをためる物理的な収納スペースも不要になりました。従来の収納力やブランド性よりも、いかに身軽か、おしゃれか、が財布に求められています」