そのため、起業資金やキャリアチェンジのための学費、または移住や転職活動の資金などの用途に運用資産が使われます。いわば、自己成長とキャリアアップのための投資に資金が回るのです。
「使う前提」の資産形成で
好循環が生まれる
(5)寄付・寄贈(フィランソロピー)
米国では、寄付が社会文化として根づいています。高齢になってから寄付をするだけでなく、子どもの頃から少額であれ、自分の親しみのある分野や応援したい事業に寄付をするのが習慣化しています。寄付先としては、大学、病院、奨学金基金、財団(Foundation)設立、地域コミュニティ支援などが挙げられます。
超富裕層に限らず、中間層でも一定の寄付を行う人が多く、資産形成→社会への還元が自然なサイクルとして成立しています。
(6)相続・世代間移転
米国では自分が元気なうちに、“保有している財産をどのように使い、どのように渡すか”を計画的に考える文化があります。
具体的には、生前贈与、教育資金として早期移転、信託(Trust)による資産承継といった形で、“生きているうちにどのように使い、どのように渡すか”が実行されます。
一方、日本では「生きているうちにいくら使うかわからない」「資産を渡してしまうとその後、関係性が変化してしまうのではないか」など、ここでも使うことや渡すことへの心の壁があり、なかなか実行されません。
このように、米国人は「使う前提」で資産形成をしているといえるでしょう。
『オルカン思考 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』(代田秀雄、Gakken)
米国の家計は、日本のように“貯めて終わり”ではなく、「老後」「住宅」「教育」「キャリア」「寄付」「相続・贈与」という多様な用途を想定して運用し、実際に使う文化があります。
これにより、投資に対する意識が前向きになり、結果として資産形成の好循環が生まれているのです。
「使い下手」の日本人にもこれから、徐々にこういった文化が生まれてくるものと期待しています。







