JR西日本にとって
2030年代は「勝負の時代」
同社にとって2030年代は「勝負の時代」だ。2030年に夢洲の統合型リゾート(IR)が開業し、年間約2000万人(国内約1400万人、海外600万人)の来場者数を見込んでいる。現時点では海のものとも山のものともつかぬ施設であるが、想定通りになれば、約2500万人が来場した大阪・関西万博に近しい効果が毎年期待できることになる。
政府は2030年のインバウンド6000万人を目標にしている。JR西日本は2031年開業予定のなにわ筋線(大阪~JR難波間)で大阪都心部と関空のアクセスを強化する。また、関空特急「はるか」の運転区間を山科駅に延長し、京都の東の玄関口とするとともに、折り返し能力を強化して増発を図る。導入から30年が経過した「281系」車両も更新予定だ。2030年度のグループインバウンド収入は2025年度比約287億円増の1110億円を目指す。
今中計、最大の特徴は2030年代に向けた積極投資だ。中計2025における2023~2027年度5年間の設備投資・出資計画は計1兆6100億円だったが、中計2030では成長投資が5200億円増(80%増)の1兆1700億円、設備維持更新投資が700億円増(33%増)の4700億円、安全投資・安全性向上投資が3700億円増(60%増)の9800億円、計2兆6200億円にまで膨れ上がった。
中期経営計画2030より抜粋 拡大画像表示
同期間の営業キャッシュフローは1兆7000億円で、残りは資金調達、資産売却で調達する。これによりNet Debt/EBITDA(純有利子負債/利払い前・税引き前・減価償却前利益)は現在の3.7倍から2030年度は6倍程度まで増加する見込みだ。2031年度以降は低減させ、財務健全性を向上させていくというが、金利上昇局面だけにリスクの評価は難しいところだ。
2030年代に向けた助走期間という位置付けの中計2030であるが、さまざまな分野で将来予測が困難な時代になりつつある。計画を無事に完遂できるのか、同社の手腕が試される。







