Photo:Katsumi Murouchi/gettyimages
異次元緩和の終幕とともに、日本の長期金利は歴史的な転換点を迎えた。四半世紀近く続いた低金利はなぜ終わろうとしているのか。特集『ベスト経済書2026』(全10回)の#9では、『金利の歴史』の著者である平山賢一・麗澤大学経済学部教授が、オランダ、英国などから日本へと移った「最低金利国」の歴史をたどりながら、金利の本質、格差、国家と市場の関係を問い直す。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
低金利の終焉を
歴史から読み解く
日本銀行による異次元金融緩和は、2020年代半ばに幕を下ろしました。わが国の長期金利(10年国債利回り)も、歴史的な転換点を迎えました。そこで、改めて金利の歴史を整理してみようと考え、『金利の歴史』を執筆しました。
実は、01年に刊行した『金利史観』は、日本が長期的な低金利時代に入るという認識の下、その構造を整理したものです。当時、マイナス金利にまで至るとは想定していませんでしたが、結果として低金利は四半世紀近く続きました。今回の『金利の歴史』は、その延長線上にありながらも、「低金利の定着」ではなく、「その終焉の可能性」を主題としています。
平山賢一(ひらやま・けんいち)/1966年生まれ。埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長(最高投資責任者)などを経て2022年4月から東京海上アセットマネジメント参与チーフストラテジスト、25年4月から麗澤大学経済学部教授。著書に『戦前・戦時期の金融市場 1940年代化する国債・株式マーケット』(日本経済新聞出版)、『物価の歴史』(中央経済社)などがある。
まず、この長期金利の低位安定が、わが国では終焉を迎えている点を本書に沿って紹介しましょう。現在の日本は、インフレ率の上昇にもかかわらず、政策金利を低位に長く抑制し続けた結果、その歪みが市場で調整されるかたちで、長期金利や超長期金利の上昇として顕在化しています。
長期金利は、安定しているときと変化しているときとで、まったく異なる表情を見せます。まさに、00年前後に日本国債市場は“凪の時代”に入り、25年に“風雨の嵐”に突入したのかもしれません。
というのも、本書で世界の歴史を繙いたように、「最低金利国」の地位は、時代とともに移行するというパターンを長期的に描いてことが確認できるからです。最低金利国の座は、イタリア都市国家から英米、そして日本へと順に移行してきました。
最低金利国の座は、時代ごとに移り変わってきた。では、日本はなぜ長く低金利を維持できたのか。そして、その条件はなぜ失われつつあるのか。平山氏が金利史の教訓から読み解く。







