
柴田やヨシの意外な一面
彼女だけが生き延びて、相手の男・柏原淳之介(小方蒼介)は亡くなった。父・弥吉(山口祥行)と母・カツ(尾上紫)は女郎のせいで息子が死んだと怒り心頭。
「あの女にたぶらかされた」
女郎の部屋に乗り込み、何をするかわからないほど興奮している弥吉を止めたのは、柴田(飯尾和樹)だった。
羽交い締めにして部屋の外に連れ出す。穏やかな顔と口調ながら腕っぷしが強い。大工仕事はできるし、この人、どうやらただ者じゃなさそうだ。
直美は警察が来たと嘘を言って弥吉を脅す。ヒ素は息子のたもとのなかにあったとも。これはホントのこと。やや手荒な直美のやり方に対し、りんは優しさで弥吉を諭す。まるで北風と太陽だ。
奥様が心細いだろうとそばにいてあげるようにりんに言われ、弥吉はちょっと悲しげな顔をする。息子を亡くし悲しい一心なのだ。直美だって弥吉の気持ちはわからなくはない。だが「誰かのせいにしないとやりきれないのはわかるけど、女郎だからって」と苛立ちは収まらなかった。
ふたりのやりとりを聞いていたヨシ(明星真由美)が口を開く。
「男と心中未遂した女郎は店に戻ったら折檻(せっかん)されて休んだ分の借金も背負わされる」
やけに詳しい。そこヨシの前職が明かされる。
女郎のやり手婆(ばあ)だった。つまり女郎を締めあげていたほうだった。どうりでやや柄が悪い。
やり手婆とは、遊郭で女郎のマネージャーみたいなことをする仕事だ。年配の人が多いので「婆」。元遊女だった人が遊郭に残ってこの仕事に就くこともよくある。ヨシは女郎の陥る地獄を数多く見てきた人で、地獄の辛さを、きれいごとばかり言う世間知らずのりんたちを見て黙っていられないのだ。
「おっかあ」とうわ言を言う女郎の寝顔を見ながら、直美は、赤い糸につながった男女の後ろ姿を想像する。自分の母もこんなふうに、遊郭を足抜けしたのかもと想像したのだろう。
そして直美は、この女郎の名前が「夕凪」であることを知る。
まさかこの女性が母? いやそれにしては若すぎる。







