『ばけばけ』主人公の夫のモデルが書いた作品も…明治中期の「新聞連載小説」が豪華すぎる!〈風、薫る第50回〉

りん、卯三郎に助けを求める

 りんが唐突に「私、今日、倒れます」と言い出した。

「きょうは会社休みます。」(14年 日本テレビ系)というドラマがあった。これは恋愛経験のない女性が恋を通して変化していく漫画原作のラブコメで、10年前はまだこういう恋至上主義的なものが流行っていたのだなあと隔世の感を覚えるが、それはさておく。

「仕事ができないので早退しますが、あんまり体がつらいので、外に出ていろいろ相談してきます」

 仮病を使って、夕凪を逃がすいい方法を相談しに行くことにしたりん。ただし、直美と違って完全に嘘ではない。ちょうど寝不足ではあったので、それを理由にした。

 りんが頼ったのは、清水卯三郎(坂東彌十郎)だ。

 ところが彼は「その女郎1人助けても、遊郭の仕組みは変わりません。社会は変わらない」と冷静だった。

りん「私は、目の前に困っている人がいたら、手を差し出したいです」
卯三郎「では、女郎の患者が来るたびに危険を冒して逃がすんですか?」

 卯三郎の言うことはもっとも。だが、りんは、では、「どうして私を助けてくださったんですか?」と聞く。困っていたとき、卯三郎にチョコをもらい、店で働かせてもらえて、りんは助かった。それがなければりんだって遊郭の道を選ばざるを得なかったかもしれない。

「あなたのような人がいたらこの店が、社会が面白くなると思ったからです。私は商人ですけどね。なんとか商いの力で、社会を愉快に心地よくしていきたいんです」

 あくまでビジネスをベースにしている卯三郎と、いま苦しんでいる人に手を差し伸べたいりん。話は平行線。

「力及ばずすみません」と言いながらも卯三郎は、新聞の「廃娼運動」の記事を見せる。

「女郎の自由廃業を進めている廃止運動家の記事です。もし、彼らに協力を仰いで廃業させられたら、その女郎にも、社会にも、リターンがあるはずです」

 ヒントをもらったりんはさっそく運動家に会いに行く。

 りんを見送る真風(研ナオコ)が「月に叢雲(むらくも) 華に風、逆もまたしかり」と意味深につぶやく。

「良いことには邪魔が入りやすい」ということわざだが、真風は「逆もまたしかり」と言う。なにが良いことで何がよくないことを指すのか、はたして……。

 卯三郎とりんの会話をシマケンがたまたま瑞穂屋に来て盗み聞きしていた。厚かましくもお茶まで出してもらって。

 この人は今回、りんと直美の助けになるのだろうか。

 このエピソードをレビューに記録としておく意味があるのかないのか、こんなにレビューに書きづらいキャラも珍しい(俳優の責任では決してない)。これだけちょくちょく出てくるのだから、大きな見せ場があると期待して、見続けるとしよう。

『ばけばけ』主人公の夫のモデルが書いた作品も…明治中期の「新聞連載小説」が豪華すぎる!〈風、薫る第50回〉