インプレッション2200万超
炎上する要素がてんこ盛りだった

 こういった匿名の投稿が物議を醸すことはSNSではそう珍しくないが、今回のケースはバズリ方がやや派手である。

 例えば、インフルエンサーの滝沢ガレソ氏がこの件を伝えた投稿は2100万インプレッションというすさまじさ。多くの人が関心を持たざるを得ない事態となっている。

 なぜこれほどの話題になっているかといえば、この件がネットでバズる(あるいは炎上する)要素をふんだんに備えているからだろう。

 まず、トレンド入りしたキーワードにちなんだ話題であること。その日、その瞬間のトレンドに関連する話題はSNS上でもっとも強力である。さらにこれがエンタメ要素が絡むと爆発することが多い。今回の場合、嵐という誰でも知っている国民的アイドルグループだったから、話題性は抜群だった。

 そして「常識 or 非常識ネタ」「冠婚葬祭のマナー」もSNSで話題となりやすい。理由は誰にとっても身近な話題であり、光景が想像しやすいからである。思わず誰もが一言口を出したくなる。

 この投稿はいわゆる「釣り」ではないかという指摘もある。実際にこのような事態は起こっていないのに、注目を集めるために作り話をしているのではないか、というのである。実際に多く「釣れ」ているのだから、そう感じる人がいるのも無理はない。当の夫は6月1日に別の投稿で妻が通夜・告別式に参加したことを明かした。

 ここで気になるのは、これが釣りであろうとなかろうと、なぜ人はこのような話題に惹きつけられてしまうのかである。この妻が通夜よりラストライブを優先したところで、読んだ第三者が迷惑をかけられるわけではない。しかし、誰かの優先順位に対して、人は口出しをしたくなってしまう。

他人の優先順位に口を挟む人が
頭の中で考えていること

 なぜ人は、他人の優先順位に口を出したくなってしまうのだろうか。これにはいくつかの理由が考えられる。

「仕事と家庭」「親か恋人か」「趣味かキャリアアップか」など、人は人生のさまざまな局面で何を優先するかを試される。本来、天秤にかけたくないものまでかけざるを得ない場合があり、そんなときは葛藤のもとに決断を下す。

 アイドルのコンサートと親の通夜はとっぴな比較だが「子どもの行事と、どうしても抜けられない仕事が重なってしまった」「半年前から予定していた海外旅行の直前に長年会っていない親戚が亡くなった」などの経験は、多かれ少なかれあるのではないか。

 だからSNSでこのような話題を見ると、自分の過去の葛藤を思い出し、その苦みを再度味わうような気持ちになるのだろう。どちらを優先しても後悔は残るのだ。

 だからこそ登場人物が自分とは違う決断をした場合には、それを否定したくなる。なぜなら、それを肯定すれば過去の自分をさらに否定するような気持ちを抱きかねないからだ。