問われる人間の価値と日本企業の「勝ち筋」
セミナー後半ではクロストークセッションが行われ、金氏と、協賛講演のプレイド牧野祐己氏が登壇。「データに眠る物語をどうやって紡ぎ出すか」というテーマの下で2つの問いが立てられ、互いに意見を交わした。
AIが「点」であるデータから、コンテクストや物語といった「線」を描けるようになってきた現在、人間の役割は何か。この問いに対して、金氏は「AIと“壁打ち”をする人としない人では、大きな差が生じます。人間の役割を問う前に、まず全員が壁打ちをするようになることが先ではないでしょうか」と、AIリテラシー向上の必要性を訴えた。牧野氏もAIを使わない人がいるとボトルネックになりかねないと指摘した。


一方、金氏はAIの恩恵を強く受けている業種として弁護士やコンサルタントなどの士業を挙げ、独立する人が増えていると指摘した。その背景として「独立する人たちには、自分で案件を取れる『営業力』があります。それは人に好かれる能力、『この人に頼みたい』と思わせる何かしらのチャームではないでしょうか」と分析。そうした営業力に加え、問題設定、責任の引き受け、利害調整、信頼形成、倫理判断、最終意思決定などを「短期的には人間の価値として残るもの」と位置付けた。
その後、議論のテーマはフィジカルAIという新たな主戦場に移り、日本企業の勝ち筋について意見が交わされた。
金氏は、日本全体で協力し合うコンソーシアム型を提案。またモノづくりの強みを活かし、「ハードで市場を押さえ、ハードを通じてデータを集積できる構造にしておくと後々、効いてくるのではないでしょうか」との見方も示した。
本セッションでは質疑応答の時間も設けられ、データ学習によるエコーチェンバーの懸念、AI時代の報酬体系や多様性の担保など、さまざまな論点から意見が交わされた。急速に進化するAIとどう向き合い、いかに競争力につなげていくか。企業にとっての重要な視点が提示されたセミナーとなった。
◉構成・まとめ|金田修宏 ◉撮影|佐藤元一







