禅僧の良寛は「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候、死ぬ時節には死ぬがよく候、是はこれ災難をのがるる妙法にて候」と書き残していますが、災難や死を病気と言いかえると、この言葉がより身近に感じると思います。

 あなたが病気に遭遇するときは、それがあなたのタイミングだから素直に遭遇すればよい。実はそれが病気を回避する絶妙な方法なのです。

理想の死を迎えるため
「ing」であり続ける

 あと何年生きられるかは誰も分かりません。死は不意に訪れるからです。

 兼好法師は『徒然草』で、

「四季は、猶、定まれる序で有り。死期は、序でを待たず。死は、前よりしも来らず。予て、後ろに迫れり。人皆、死有る事を知りて、待つ事、しかも急ならざるに、覚えずして来る。沖の干潟、遥かなれども、磯より潮の満つるが如し」(第百五十五段)(『徒然草』兼好 島内裕子校訂訳 ちくま学芸文庫)

 と、死は前からやって来るのではなく、知らないうちに後ろから来ると喝破しています。

 56歳で亡くなったアップルの創始者のスティーブ・ジョブズは、毎朝、鏡に映った自分に向かって「今日が人生最後の日だったら、私は今日しようとしていることをしたいと思うだろうか?」と問いかけていました。(スタンフォード大学卒業式でのスピーチ)

 ジョブズは毎日、不確定な死に真剣に向かい合いながら、だれもが認めるすばらしい仕事を成し遂げていったのです。

 私もいつ終わりが来てもかまわないという淡々とした感覚を持っています。

 そういう気持ちで私は大病をしたときから現在まで立ち止まらずに、好きなこと、新しいこと、偏愛することにチャレンジし続けています。

 このままずっと現在進行形の「ing」であり続け、何かに打ち込んでいる途上で、ふと終わりが迎えられればいいなと思っています。

 そして死ぬ瞬間は上機嫌で笑いながら、軽くスッと事切れるのが私の理想です。