この23年間で市税収入は約2倍に、そして市税収入に占める人件費の割合は31.8%にまで削減することができました(図4-03)。
同書より転載 拡大画像表示
人口あたりの職員数も県下で最小を維持しています。
これは、無駄な仕事を止め、生成AIの導入など生産性を上げることで投入するコストを減らしながら、より高い成果を上げてきたという証です。
過去を踏襲する行動から
自主的に提案する姿勢に変わった
市長に就任した当初は、私の「行政はサービス業だ」「コストカットをして、成果を上げることが大切だ」といったメッセージの意味が、なかなか職員に伝わらず、歯がゆい思いをしました。
2021年にテレビ東京の『カンブリア宮殿』で密着取材を受けた際、職員のひとりが私のことを「(最初は)宇宙人かと思った」との発言が紹介されていました。
多くの職員が同じように「この人は一体何を言っているのだろう」と受け止めていたのかもしれません。
しかし、職員たちは確実に変わっていきました。
過去のやり方や慣例をそのまま繰り返すことや、周囲と足並みを揃え、個性を出さずに同じように行動することを是とする考え方をしていたのが、今では、自主的に「この施策は導入したほうがよいのではないか」と提案してくれるようになっています。
たとえば、長らく使っていない公共用地の活用提案や、散在していた流山市関連データの一元化、または自身の業務を見直してマニュアルを整備するといった、日常的な業務改善のアイデアと行動が現場から次々と出てくるようになりました。
マニュアル整備などの取り組みは、おそらく自分が若手だったころに「あったら便利だった」と感じたことを、自分が異動する前に形にしようとする主体的な姿勢の表れです。
『流山市はなぜ選ばれ続けるのか 共働き子育て世代が移住し、住民の93%が「住み続けたい」まち』(井崎義治、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
人は、自ら進んで行ったことに対して「ありがとう」「助かった」と感謝されたとき、大きく変わります。その小さな成功体験の積み重ねによって、自分の行動が市役所を、ひいてはまちを変えていくという実感につながるのです。
加えて、流山市がマスコミに取り上げられる機会が増えたことで、職員たちが誇りをもって働くようになりました。
以前は市民から趣味・サークルなどで「どこにお勤めですか?」と聞かれても「地元の会社です」などと曖昧に答えていた職員が、今では「流山市役所です」と堂々と名乗っています。
ただし、ここで注意が必要です。知名度が上がったからといって、その評価に甘んじてはいけません。
外部から「すごいですね」と言われるようになったときこそ、改革・“カイゼン”のスピードに緩みが出ないかを常に見直す必要があります。これは、私自身への戒めでもあります。







