稼げるタクシードライバーが
仕事中に考えていること
ドライバーは、その日初めて会った相手と、タクシー車内という小さな空間を共有する。そこにあるものは会話だけではない。ちょっとしたしぐさや咳払い、視線の動きさえも、優秀なドライバーは感じ取る。それが好意的なものであれ、不快そうなものであれ、ドライバーにとっては貴重な情報だ。
ドライバーにとって、情報は売り上げに直結する。天気予報はどうなっているのか。工事による迂回は発生しているのか。今日はどこでコンサートがあり、何時に終わるのか。周辺でどんなスポーツの試合があるのか。花火大会の帰宅客が動き出す時間はいつなのか。ビジネスの展示会は何時から何時までか。乗客の感情は、どの要因に左右されているのか。
そうした情報一つで、売り上げが大きく変わることも珍しくない。
その手がかりは、しばしば乗客との何気ない会話の中にある。だから一流のドライバーは、話しかけてくる客に対応するとき、会話を楽しみながらアンテナを張る。そして、次のお客の獲得につながる情報を集める。もちろん沈黙を守っているときも、外部から得られる情報に耳を澄ませている。
そして、もうひとつ「稼げるドライバー」に共通しているのは、この仕事を面白がっていることだ。街の変化に気づき、客の流れを読み、自分なりの仮説を立てて走る。イベント帰りの客はどこに向かうのか。雨が降れば人の動きはどう変わるのか。仮説が当たれば次に生かし、外れれば修正する。その繰り返しである。
傍から見れば、タクシーの仕事は同じことの繰り返しに見えるかもしれない。しかし、優秀なドライバーにとっては違う。毎日条件の異なる街を相手に、答えのない問題を解き続けている感覚に近い。だからこそ長く続けても飽きず、その積み重ねが結果として成長や売り上げの差になって現れる。







