280億kmの走行データが生んだ「正確な残量表示」

 3代目リーフに試乗して印象的だったのは、この表示が非常に正確だったことだ。高速道路を走ればそれなりに減る。しかしいきなりガクンと表示が変わることはない。

 リーフの残量計はなぜ正確なのか。クルマとして走行性能が大事なのはもちろんだが、こうした“付帯設備”の信頼感もまた大事。前号に続き、3代目リーフの開発責任者にお話を伺おう。

「充電大丈夫かよ…」EV乗り最大の不安を終わらせる?日産新型リーフ「地球70万周のデータ」が生んだ答え日産オートモーティブテクノロジー 副社長執行役員 磯部博樹氏。今年3月まで日産におり、3代目リーフの開発責任者を務めていた Photo by AD Takahashi

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):EVに乗っていて一番怖いのは、やはり電池残量です。そして多くのEVの電池残量表示は不正確で信用できません。でも今回のリーフは違う。残量表示が非常に正確です。これはなぜですか?

日産オートモーティブテクノロジー 副社長執行役員 磯部博樹さん(以下、磯):我々が持っている“データ”の量が豊富だからです。初代リーフから2代目リーフまで、リーフは長い間、世界中のいろいろな場所で走ってきました。その累積の走行距離は280億kmに及びます。我々は膨大な量のEV走行データを持っているんです。

 280億km、である。リーフは地球を70万周も走ってきたのだ。そりゃデータも溜まるだろう。

磯:我々はその豊富なデータを解析して、「こういうところをこういうスピードで走ると、SOC(State of Charge:バッテリー残量)はこれくらい減るよ」、と予測する技術を持っています。例えばこのくらいの車速でこういう傾斜のある道を走ると、このくらい電費が悪くなりますよ、と。そういうことを正確に読めるのが日産の強みです。

EVは、カタログの航続距離を伸ばせばいいというものではない

F:なるほど。単に電池が何%残っているかではなく、どう走るとどれだけ減るかをしっかり読んでいる。

磯:そうです。それに加えて、今回のリーフにはGoogleマップが入っています。Googleとつながっていますから、リアルタイムの交通量のデータが入ってきます。この先が渋滞しているのか、流れているのか。上りなのか、下りなのか。リアルタイムのデータと、我々が持っている280億kmの実績データを掛け合わせることで、電池が何%残っていてこれからどれくらい減るかを非常に正確に出せるという訳です。

F:EVの残量表示に対しては「本当かよ」と常に疑いの目を向けているのですが(笑)、今回のリーフは表示と実感のズレが少なく本当に正確です。これは大きな安心感につながります。

磯:これまで16年、3代続けてEVを造ってきた蓄積です。EVはただカタログの航続距離を伸ばせばいいというものではありません。実際にお客様が走る時に、目的地に着く時に何%残っているのか。そこを可能な限り正確に読めることが大切です。過去の走行データと、今走っている道路の情報を組み合わせることで、そこをより正確に出していく。今回のリーフでは、そこをかなり造り込んでいます。