
環、不機嫌の理由
家のための婚姻か、個人の恋愛か、それが問題かといえば、実はそうではなく、問題は環である。
安が結婚して家を出ることをためらうのは、環を残していくことを心配しているのだ。
母親のりんが家にいられない分、安が育ててきた。彼女が結婚するとなったら、環の元気がなくなったようで心配になり、家にいることを安は選択したのだ。
ところが、環の元気がなかったのは、安のせいではなかった。
環と留守番していた直美(上坂樹里)がその真意を知る。
「子どもには子どもの社会がある」
環もいつの間にか、母や叔母や祖母に守られているだけではなく、自分の世界を持っていた。
元気がなかったのは、近所の中山マツ(丸山礼)の息子・宗太(木下瑛太)との関係性によるものだった。あることで関係性がこじれていたことを気に病んで、浮かない顔をしていたのだ。
ここでりんが母親としての面目躍如。
「お母さん、よく間違えるから、後悔する」と環に助言。環の祖父にあたる信右衛門(北村一輝)の言葉も添える。
「間違いに気づいたのに、改めないのはもっと間違いだって」
こうして、環は宗太との関係を修復する。と同時に安が結婚をためらう理由はなくなった。
「私も。間違いはすぐ謝って取り消さないと。結婚、やめるのはやめる。私やっぱり宗一さんと結婚したい。あんな面白い人いないもの」
第55回に登場したとき、宗太と宗一、漢字がかぶっていると思ったが、安と宗一、環と宗太と、こういう関係性だったようだ。環もやがて恋を知るのだろうか。
安の結婚をストレートに書かないで、明治時代の婚姻制度と西洋的恋愛概念の普及、りんと環の母子関係、「間違いに気づいたら改める」というりんの人生の課題をうまくつなげた秀作回であった。
「選択」に関しても、安の人生の選択のみならず、シマケンの進路の選択を匂わせている。
記者にならないかと持ちかけられるシマケンだが「僕は小説を書きたいんです」と悩む。
彼の書いた「損友」という小説の内容が気になる。








