昭和の子どもに人気だった世界観?
スペースXは約12兆円で何をするのか
スペースXのIPOについて、公募価格は135ドルだった。5億5560万の株式を売却し、計750億ドル(1ドル=160円で約12兆円)を調達した。まぎれもなく史上最大のIPOだ。
株価の終値は19%高の160ドル95セント。時価総額は約2兆1000億ドル(約336兆円)となった。世界の機関投資家や個人投資家らの、AIへの成長期待の高さが改めて確認された。まさにAI革命の勃興期である。
スペースXは「スターリンク」という高速インターネットサービスを提供し、AIの性能向上と利用範囲の拡大に取り組んできた。さらに今後は、宇宙空間でAIデータセンターを運営し、冷却のための電力消費量を抑えようとしている。
IPOに先立ち、マスク氏は「AI 1」構想を発表した。それによると、宇宙で冷却する場合は真空に熱を放射するだけでいいという。ただ、実際に宇宙にサーバーなどを運ぶためには、搭載能力や出力の高いロケットが必要だ。その資金を市場で調達した上で、ライバルよりも先に、新しいエネルギー利用方法を確立し、低コストでAIの開発と運営を目指すという。
スペースXの業績を確認すると、最終損益は赤字だ。しかし、マスク氏の野心に共感・評価する向きや、「マスク氏が世界を変える」との期待が高まり、IPOは成功した。
筆者が思うに、スペースXのビジョンは、昭和30~40年代に、日本で人気だった子ども向けの科学図鑑を彷彿(ほうふつ)とさせる。当時の図鑑には、ロケットで宇宙を旅行するイラストや図解が描かれていた。人型ロボット(ヒューマノイド)が、私たちと共同で生活するシーンもあった。
マスク氏が語った、「SFからフィクションを取り除き~」の考えは、人々を魅了する物語(ストーリー)を実現することに他ならない。こうしたアニマル・スピリット(成功や成長を目指す血気、野心)が、AIや宇宙の開発を一段と加速させている。
『なぜなに月と宇宙のふしぎ』 (なぜなに学習図鑑4、小学館)拡大画像表示







