アンソロピック、オープンAIも上場へ
株価が調整局面に入る可能性も
今後は、膨大な「計算資源」を確保できる企業ほど、AIモデル開発競争を優位に進めることができるだろう。この後、アンソロピックとオープンAIもIPOを予定する。両社とも600億ドル(約9.6兆円)以上の資金調達を計画。当初は、オープンAIの方が早く上場するとの見方が多かった。実際は、アンソロピックの方が先に申請を行った。
短期的には、大型IPOで資金が集中した結果、いつかどこかの段階で世界の株式市場が調整局面に入る可能性は高い。AI銘柄が売られると、株式市場全体の地合いは一時的に悪化するはずだ。その場合、期待先行とAI一極集中により日本、米国、韓国、台湾などで株価の過熱感があることからも、株価の調整幅は大きく振れることも予想される。
スペースXのIPOの前、一部の投資家は、株価が上昇した銘柄を売却し、IPO参加資金を確保した(換金売り)。アンソロピックとオープンAIのIPOに関しても、株式の需給バランスは不安定になるだろう。
他方で、世界的な金利上昇の懸念もある。IT銘柄が売られ、株式市場の変動性(ボラティリティー)上昇のリスクは高まっている。可能な限り早めにIPOした方がいいとの判断が、アンソロピックにあっただろう。
中長期的には、アンソロピックはスペースXと連携し、AIデータセンターの利用権を優先的に確保しようとしている。モデル開発や計算能力の確保のキャッシュのアウトフローが増え、収益性や財務面に不安が高まることがあったとしても、投資の手綱を緩めることはできない。
加えて、「超知能」(ASI)と呼ばれる新AIを開発、実用化できれば、先行者利得を手に入れられる。たとえ価格が高くても、世の中が欲しがるAIであれば、利用は増える。獲得した資金を配分することで、安全性も高められるだろう。
AIの性能向上は、半導体チップやロボットなどの需要を創出する。AIは主要国のみならず世界の産業構造を根本から書き換える威力を持つ。だからこそAI関連分野で投資を手控えることはできなくなっている。スペースX、アンソロピック、オープンAIのIPOは、そうした変化の嚆矢(こうし)と理解すべきだ。







