AI革命で日本が
絶対に逃してはいけないチャンスとは
中東情勢の緊迫化やウクライナ戦争、台湾有事などに備えた地政学リスクは高まっている。一方、AIで非連続的な変化も加速している。今すぐではないにせよ、インフレ懸念や株価の割高感から、世界的に株価に調整圧力がかかることも想定される。
新しい価値観や過去の経験がそのまま当てはまらないことは増えている。これを、先が見通せない、不安定な時代だといって片づけるのは簡単だ。日本全体が「現状維持バイアス」に浸っているといっても過言ではない。
1990年代にバブル経済が崩壊して以降、日本企業は「守り」を優先するスタンスから抜け切れていない。その結果、ゼロから需要を生み出そうとする、起業家精神=アニマルスピリットが十分に育っているとは言い難い。バブル期以降で日本から世界に創出した大型商品といえば、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」くらいだろう。
自動車以外の分野で、日本企業は世界的な水平分業に対応できなかった。IT革命、デジタル化にも乗り遅れた。スマホでは、あっという間に韓国や中国勢に抜かれた。データセンターの運営やAI開発において、米国や中国の有力企業と互角に競争できそうな企業は、今のところ非常に少ない。
AIの世紀に突入し、世界の価値観は劇的に変わろうとしている。日本にチャンスが残っているのは、キオクシアが競争力を持つフラッシュメモリー、ラピダスが目指す先端のAI向け演算チップ、それらの部材や製造装置の分野であろう。
要するに、アンソロピックやオープンAI、中国のアリババやディープシークが必要とする半導体を創出することができれば、それが日本のAI革命への対応といえるだろう。研究開発体制を引き上げ、エヌビディアや台湾積体電路製造(TSMC)を上回るスピードで新製品の創出に取り組むことが必要だ。
民間企業を支えるためにも政府は、内外から実力のある人材を招き、半導体産業の再興に必要な制度設計、支援策を迅速に策定、実行すべきだ。もし対応が遅れれば、株価の調整などによって企業の前向きな心理がしぼんでしまうかもしれない。
スペースXはIPO初日で、日本で最大の時価総額を誇るキオクシア(6月12日時点、44兆円)を上回った。わが国はその意味をしっかりと理解し、AI革命に能動的に対応することが必要だ。








