鴻上尚史さんが教えてくれる、リーダーに望まれる姿勢と「エンパシー」の大切さ

演劇界の第一線を走る鴻上尚史さん(作家/演出家)は、現在、ニュースサイトの人生相談コーナーの回答者としても幅広い層に支持されている。学生時代に立ち上げた劇団(第三舞台)は、集客で成り立つ「プロ」を旗揚げ時から目指し、座長として、劇団員たちと研鑽を重ねた。「好きなこと=楽なことではない。好きだからこそ、そのぶん、しんどいこともたくさんあった」と当時を振り返る鴻上さん。理想とするリーダー像は? いまの時代を生きる人に必要な「エンパシー」とは? 新社会人(27卒)向けメディア『フレッシャーズ・コース2027』にも出演中の鴻上さんに、「HRオンライン」がインタビューした。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)

* 『フレッシャーズ・コース2027』(ダイヤモンド社)は、全7巻ワンセットの新卒内定者フォローツール。鴻上尚史さんは、その第6巻「The Life」(著名人インタビュー)コーナーに登場している。

“プロ”になることが明確だった劇団「第三舞台」

 1980年代の“小劇場ブーム”を牽引し、現在も演劇界の第一線を走り続けている作家・演出家の鴻上尚史さん。演劇活動にとどまらず、ニュースサイト「AERA DIGITAL」では「鴻上尚史のほがらか人生相談〜息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」を担当し、さまざまな人の悩みに対する回答が注目されている。

 そんな鴻上さんが、劇団「第三舞台」を旗揚げしたのは大学在籍時。数多くの演劇人を輩出してきた早稲田大学・演劇研究会(=早大劇研)での活動だった。

鴻上 当時、「劇団をつくれたらいいなぁ」と、ぼんやり思ってはいましたが、「自分がリーダーになって立ち上げるぞ!」という強い意志は持っていませんでした。同期の友人に「そろそろ腰を上げたら?」と言われ、「そう言ってくれるなら、やってみようかな」くらいの気持ちでした。

 演劇研究会で劇団を旗揚げするには、総会で賛成多数をとる必要があったのですが、僕に反感を持っている先輩が結構いたので、「否決されるかな?」と懸念していました。僕は、年上というだけで尊敬しなければならない人間関係に納得がいかず、敬えない先輩には媚びなかったので。でも、結果、賛成してもらえて、劇団をつくることができました。

 旗揚げ公演時のお客さんは300人。それが、回を重ねるごとに爆発的に増えていって、3年半ほど経ったときには、ひとつの公演で1万人を集めるようになりました。

鴻上尚史

鴻上尚史  Shoji KOKAMI
作家/演出家

1958年、愛媛県出身。早稲田大学法学部卒。1981年に劇団「第三舞台」を結成。「朝日のような夕日をつれて」(87)で紀伊國屋演劇賞、「天使は瞳を閉じて」(92)でゴールデンアロー賞、「スナフキンの手紙」(94)で岸田國士戯曲賞を受賞する。海外公演は、2007年に「TRANCE」(ロンドン・ブッシュシアター)、2011年に「Halcyon Days」(ロンドン・リバーサイドスタジオ)があり、いずれもイギリス人キャストへの演出を行った。映画監督、俳優、小説家、エッセイスト、ラジオ・パーソナリティとしても活動している。桐朋学園芸術短期大学名誉教授。『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる』(岩波書店刊)など、著書多数。新社会人向けメディア『フレッシャーズ・コース2027』(ダイヤモンド社)にも出演している。

「第三舞台」は、大学サークル内の劇団ながら、俳優にもスタッフにもギャラを支払うことができる“プロ劇団”に成長した。「気がついたらプロになっていた」と、鴻上さんは当時を振り返るが、旗揚げのときから「この劇団をプロにする!」と決意していたという。

鴻上 劇団員たちに「3年後に紀伊國屋ホールに連れて行くからね」と言ったら、「また、鴻上がホラを吹いている」と笑われました。でも、僕は本気でそう思っていた。だから、稽古に遅刻してきたり、セリフを覚えてこなかったりする劇団員には厳しく接しました。大学のサークルではあるけれど、「ただ楽しければいい」ではない。楽しいことを仕事にして、自分の好きなことでお金を稼ぐことを目指したいと思っていました。

 しかし、「好きなこと=楽なこと」ではなく、好きだからこそ、そのぶん、しんどいこともたくさんある――それが、後々わかりました。

鴻上尚史さんは、『フレッシャーズ・コース2027』の「TheLife」コーナーにも登場している。鴻上さんの考え方や他者への接し方を知ることで、読者(企業入社内定者&新入社員)は、多くの気づきが得られる。
鴻上尚史さんは、『フレッシャーズ・コース2027』の「TheLife」コーナーにも登場している。鴻上さんの考え方や他者への接し方を知ることで、読者(企業入社内定者&新入社員)は、多くの気づきが得られる。