第2に、韓国固有の要因として、株式市場改革が挙げられる。韓国株はこれまで、財閥を中心とする複雑な支配構造、少数株主保護の弱さ、消極的な株主還元姿勢などを背景に、企業収益や純資産の水準に比して株価が割安に放置される傾向(いわゆる「コリア・ディスカウント」)にあった。

 これに対し、韓国政府は近年、資本市場の活性化と企業価値向上を目的に、企業統治改革や株主還元の強化を促す取り組みを進めてきた。なかでも、2025年6月に就任した李在明(イ・ジェミョン)大統領は矢継ぎ早に改革を実行してきた。

 同年7月に成立した商法改正では、少数株主保護の強化が図られたほか、12月には、国内株式への資金還流を促すために、譲渡所得税を時限的に免除する措置が打ち出された。さらに、一般株主の利益保護を目的に、財閥系企業に多い親子上場の禁止といった追加的な市場改革を推進する方針も示されている。

 この結果、株価の上昇は半導体関連にとどまらず、幅広い銘柄に広がっている。AIブームが一部の関連銘柄を大きく押し上げる一方、株式市場改革が株高の裾野を広げていることが、足元の韓国株高の特徴である。

先行きも韓国株の追い風が続く公算大

 これらの韓国株への追い風は、当面続く可能性が高い。

 まず、ハイパースケーラーの投資意欲は依然として旺盛であり、AIブームは継続するとみられる。半導体メーカーの予測値などをもとに作成される世界半導体市場統計(WSTS)の予測によると、世界半導体出荷額は、2026年に前年比+89.9%、2027年に同+26.6%と、今後も大幅な増加が見込まれている。

 次に、株式市場改革も継続する公算が大きい。6月3日に投開票された統一地方選は、李政権下で初の大型選挙であり、政権基盤の安定度を測るうえで重要なイベントであった。革新系与党「共に民主党」は、主要な16の首長選のうち12カ所を制したほか、同時に実施された14選挙区の国会議員補欠選挙でも9選挙区で勝利し、政権基盤が盤石であることが改めて示された。

 今回の選挙結果が株式市場改革を直接左右するわけではないものの、改革路線の継続性が裏付けられたことで、金融市場では安心材料との受け止めが広がった。