「はしか」が首都圏と関西の都市部で流行中、どんな病気かをおさらいPhoto:PIXTA

 首都圏と関西の都市部を中心に麻疹がはやっている。過去10年間で最多を記録した2019年の同時期を超える勢いで、記録更新も時間の問題のようだ。

 特に今の10代後半~30代は麻疹ウイルスに自然暴露してきた50代以上とは違って免疫保有率が低く、今回も流行の中心にいる。麻疹は小児のみならず若年成人の病気と考えるべきだろう。

 麻疹の症状をおさらいしておこう。

 麻疹の典型的な症状は、感染10~12日の潜伏期間を経て38℃前後の発熱、咳、鼻水、結膜炎といった「風邪」のような症状に始まる。このとき「風邪かぁ」と何の気なしに外出する人も多く、不特定多数と接触してしまう。

 しかし実はこの風邪の時期(カタル期)が最も感染力が強く、新型コロナウイルスの基本再生産数(1人の患者が感染させる人数)のおよそ10倍にもなる。麻疹の免疫がない人と患者が接触した場合、感染率はほぼ100%で、同じ部屋に30分ほど同席しただけで感染、発症した例もあるほどだ。

 カタル期の後半に熱はいったん下がるものの数時間後に再び上昇。多くは39℃以上の高熱となり、強いカタル症状と特有の「発疹」が出てくる。

 鮮やかな赤色の発疹は、首の後ろや額などから始まり、顔、体幹、手足にまで地図状に広がっていく。肺炎や脳炎といった致死的な合併症リスクが高まるのもこの時期だ。

 発疹が出た3~4日後には熱が下がり回復期へ向かうが、感染力は解熱後3日間を経過するまであるとされ、熱が下がったからと外出してはいけない。

 麻疹の感染経路は、直接的な接触感染、患者の咳やくしゃみを浴びる飛沫感染、そして“ふよふよ”漂うウイルス核を吸い込むことで感染する空気感染の3ルートだ。

 家族が発症した場合、空気感染を防ぐことは難しいので、患者をできるだけ別室に隔離し全員がマスクを着用すること。また、患者がトイレや風呂を使用した後は換気を徹底しよう。

 最も確実な予防法はワクチン接種だ。1回の接種で95%以上が免疫を獲得できるが、確実を期して2回接種が推奨されている。接種歴や既往が不明な方は血液検査で免疫の有無を確認しよう。

 麻疹は健康な人間も死に至らしめる感染症だ。決して侮るべきではない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)