“誠意ある断り方”が、相手に好印象を与える
実は私自身にも、「泣く泣く断った経験」があります。
以前、とても魅力的な企画のお話をいただいたことがありました。内容にも強く共感していましたし、「ぜひ、牛窪さんに」と熱意を持って声をかけてくださっていたことも伝わってきました。本音を言えば、お受けしたかったのです。しかし、その時期は、企業研修、収録などが重なり、自分の中で明らかに限界が見えていました。中途半端な状態で引き受ければ、結果的に相手に迷惑をかける。準備不足のまま現場に立つことは、プロとして失礼になる。そう考え、悩んだ末にお断りをしました。
電話を切った後は、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。しかし後日、その方から、「きちんと考えてくださったことが伝わりました」と言っていただけたのです。
私はその時、「断り方には、その人の誠実さが表れる」と改めて感じました。曖昧な返事をして期待を持たせたままにしたり、直前で断ったりするほうが、相手を深く傷つけることがあります。断ることが苦手な人ほど、「嫌われたくない」という思いが強いのかもしれません。けれど、すべてを引き受け続ければ、いつか自分自身が疲れ切ってしまいます。そして余裕を失った状態では、良い仕事も、良い人間関係も続きません。だからこそ、「断る力」は、自分を守るためだけでなく、相手との関係を長く続けるためにも必要なのです。
コミュニケーションとは、「相手に合わせ続けること」ではありません。
自分の状況や気持ちを誠実に伝えながら、お互いが無理をしない関係を築くことだと思います。断ることは勇気がいります。しかし、誠意ある断り方は信頼を失うどころか、むしろ「この人は誠実だ」という印象につながります。







