地域振興策は人口減少への対応という観点から整理すると、「緩和(mitigation)型の政策」と「調和(adaptation)型の政策」に大別される。子どもの医療費や学費を無償化したり、子育て世帯向けの給付金を配ったりするのは、少子化・人口減少そのものを防ごうとする緩和型政策である。コンパクト化などにより、人口減少下でも住民のウェルビーイングを低下させないようにするのは、人口減少と共存しようとする調和型政策である。
従来の地域政策は、人口減少に対しては、地域内の出生率の上昇を目指したり、定住人口を増やしたりする緩和型政策にかなりの力が注がれていた。人口減少が避けられない以上は、今後は調和型の政策のウェイトを高めていくべきだというのが私の主張である。
人口が減っても
経済が縮むとは限らない
問題は、「人口が減っても人々のウェルビーイングを高めていく」というスマート・シュリンクは実現可能なのかということだ。この点で気になるのは、「人口が減ると経済も縮んでしまうのではないか」と考える人が多いことだ。もし経済が縮まざるを得ないのであれば、ウェルビーイングを高めることも難しいだろう。そこで「人口が減ると経済は縮むのか」について考えてみよう。
この点については、日本全体では、「人口が減っても経済は縮まない」という結論が既に出ている。日本の人口は2010年以降減少し続けているのだが、2010年と2024年を比較してみると、2024年の実質GDPは、2010年に比べて9.2%増えている。同じように、名目GDPは20.6%、名目個人消費は14.1%、1人当たりGDPは実質で12.9%、名目で24.6%増えている。
人口が減っても経済が縮まない理由は簡単だ。経済の規模を決める要因には、所得、技術進歩、生産性、輸出、人々の好みなど多くのものがあり、人口要因はそのうちの一つに過ぎないからだ。人口要因がマイナスに作用しても、それ以外の要因がプラスに作用することによって、人口のマイナス要因は比較的簡単に打ち消すことができるのである。







