技術革新や質の向上で
新たな需要は創出される
にもかかわらず、「人口減少によって経済が縮む」と考える人が多いのはなぜだろうか。これには、次のような錯覚があるのではないか。
一つは、「確実なものは、不確実なものより大きく見える」という錯覚だ。行動経済学ではこれを「確実性バイアス」と呼んでいる。これまで、人口が減っても経済規模が拡大してきたのは、「人口減少で縮む市場」よりも「それ以外の要因で増える市場」のほうが大きいことを示している。このうち、人口減少で市場が縮小する分野は、現在、既に存在する分野なのだから見えやすい。少子化で学校の入学者が減るのはその典型である。
一方、何かが後退しても、必ず新たな増える分野が現れる。たとえば、子どもが減るとペットを飼う人が増えるかもしれない。こうした新たな需要は、現在は存在しない(または、経済に占めるウェイトが小さい)ものである。減る需要は確実に捉えられるが、増える需要は不確実でよく見えないものだ。このため、どうしても減る需要のほうが強調されてしまうのである。
もう一つは、量と質(付加価値)についての錯覚である。人口が減るということは「頭数」の問題だから、「量」の問題である。しかし、経済的には、価格を考慮した「質」もまた重要である。
たとえば、人口減少で学生の数が減ることは避けられないが、だからといって教育市場が縮小するとは限らない。学生一人ひとりがより質の高い教育サービスを受けるようになる可能性があるからだ。
人口が減るからといって、「需要が減る」と悲観的になる必要はない。従来の財・サービスの質を高め、新たな需要を開拓していくことが求められているのだ。
スマート・シュリンクを
実現した岡山県美咲町
「移住者を増やして人口減少に歯止めをかける」「再び町の賑わいを取り戻す」といった言葉は、明るい未来を示しており、ビジョンとしても積極的に見える。これに対して、「人口減は受け入れるしかない」「人口減少に合わせて行政サービスなどの仕組みを変えていこう」といった言葉は、あまり受けが良くないのはもっともだ。







