世間の誤解
「コンサルvs生成AI」のリアル
まずは「AIがコンサルの仕事を奪う」という定説の真相を解説する。
実は現在のコンサル業界において、生成AIは「使うのが当たり前」のインフラになっている。「コンサルvs生成AI」という対立構造で語られがちだが、現場の実態はむしろ「生成AIを使い倒す」のが標準になりつつある。
マッキンゼーをはじめ、大手コンサルファームでは「自社のオリジナルAI」を構築・活用する取り組みも進んでいる。生成AIはコンサルの敵ではなく「優秀な部下」だと言える。
ここを誤解しているビジネスパーソンは意外と多い。
コンサルが生成AIを活用するパターンとして、最も分かりやすいのがリサーチ業務だ。従来、コンサルタントの仕事は「初期リサーチ」→「詳細リサーチ」→「検証」という3段階で構成されていた。
市場規模を調べ、競合の動向を整理した上で、それらを深掘りする。どうすればクライアント企業の目標を達成できるか、仮説を立てる。施策を実行し、仮説が正しかったのかを検証する。この膨大な工程に、特に若手は深夜まで追われていた。
ところが、具体的な情報源を参照し、詳細なレポートを作成する「ディープリサーチ」と呼ばれるAIの新機能の登場により、状況は一変。完璧ではないものの、リサーチ工程はかなりの精度で自動化・高速化された。
その結果、コンサルは空いた業務リソースを、ネット上には載っていない一次情報の収集に振り向けられるようになった。現場のキーパーソンへのインタビュー、生々しい社内事情の把握、専門知識を持つ業界関係者への聞き取りなどである。
資料作成も同様だ。今のコンサルファームでは、パワーポイントのドラフト作成、議事録の要約、数値データのグラフ化といった「手を動かす作業」の多くは、生成AIがベースを作ってから人間が仕上げる流れが定着している。「提案書のドラフト作成時間が、平均で約6割短縮された」という事例が報告されているほどだ。
繰り返しになるが、生成AIがコンサルの仕事を奪っているとは限らないのだ。







