ちなみに、冒頭で述べた国内でコンサル会社の倒産が相次いでいる一因は、コロナ禍に「補助金の申請代行」などで稼いでいた中小コンサルの需要減である。米国の大手ファームでは、過去の大量採用の反動が、現在の採用停止の一因になっている。全てが「AIのせい」ではない。

生成AIがコンサルの
仕事を奪えない「致命的な理由」

 生成AIが「部下」の域を出ない理由は、仮説や分析結果の精度である。

 率直に言えば、生成AIのアウトプットは「一見すると非常によくできているが、致命的な穴がある」というのが現役コンサルとしての評価になる。

 生成AIは、世の中に流通している膨大な統計データをはじめ、コンサル関連のビジネス書の内容や、コンサル会社で使われているパワーポイント資料などを学習している。

 だからこそ、データ整理の美しさや業界知識の豊富さはコンサル顔負けだ。「ボストン・コンサルティング・グループっぽい雰囲気の資料にして」と指示すれば、大手ファームで実際に使われているようなスライドを作ることも可能だ。

 問題は、その「もっともらしさ」の裏側にある根拠だ。

 具体的には、生成AIには「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」のリスクが付きまとう。存在しない統計データを正しいかのように提示したり、古い情報を最新のものとして語ったりする。「一時期は正しいと思われていたが、後から間違いだと分かった情報」が、真実として語られることもある。

 一般層が書いたブログ記事などを読み込んでいることがエラーの要因なのだが、そういう信頼性の低い出典に基づいた情報は間違いが多くなる。

 さらに厄介なのは、誤った内容を自信たっぷりに堂々と出力してくる点である。

 コンサルの世界では、信ぴょう性に欠ける情報を経営会議で口にすれば、クライアント企業の信用を一発で失う。だからこそ必ず入念なファクトチェックを行う。

 一方、生成AIはその「致命的な一線」を平気で越えてしまう。結局は、人間がチェックや仕上げを行わないと使い物にならないのだ。

 また、より本質的な問題として、生成AIは「クライアント企業に特有の事情」を知らない。