生成AIが絶対にできない
「生身のコンサル」ならではの仕事

 学習データはあくまで一般論の集積であり、縦割りの組織風土、社長と現場の確執、過去に失敗した新規事業のトラウマ、部署間の微妙な力関係といった「教科書に載っていないクライアントの内情」を踏まえて分析することができない。

 その結果として、「一般的には正しいけれど、目の前のクライアントには絶対に合わない戦略」を平然と提案してしまう。ここに、生成AIと生身のコンサルの最大の違いがある。

 また、人間による優れたコンサルティングの価値は、「答えを出すこと」よりむしろ「正しい問いを立てること」にある。

 クライアント企業の経営者自身が「これが課題だ」と思い込んでいる前提を疑い、「本当の論点はそこではない」と切り込むのが、一流のコンサルの仕事だ。

 ところが生成AIは、入力された前提を疑わない。経営者が「売り上げを伸ばす方法を考えて」と問えば、忠実に売上拡大策を返す。本当の問題が「そもそも撤退すべき不採算事業を抱えていること」だったとしても、AIはそれを指摘しない。聞かれていないからだ。

 とはいえ、筆者は「AIがコンサルの仕事を奪う」という定説を完全否定したいわけではない。スキル不足の「偽物のコンサル」は確かに淘汰されるだろう。

 具体的には、綺麗な資料を作ることが目的になっているコンサル。フレームワークを駆使し、綺麗な図表に文字を当てはめて見栄えの良いスライドを量産するが、中身は一般論の域を出ない。こんな人材は生成AIと何も変わらない。下手をすれば負けている。

 クライアントの言うことを疑わずに対応するだけのコンサルも同様だ。「御用聞き」のように要望を聞き、言われたとおりに調査や仮説検証を行うだけであれば、生成AIに分がある。

 インタビューなどで得られる一次情報ではなく、ネットで拾える情報だけで提案を組み立てようとするコンサルも同じである。「情報処理業」として付加価値を発揮しようとするコンサルは、これから厳しくなるだろう。

 では、こうした生成AIに劣るコンサルと、お金を払う価値があるコンサルを見分けるための方法は何か。