看護婦の給料は公務員の5分の1!?明治の「月10円」、価値はどのくらい?〈風、薫る第62回〉

行き違いとすれ違い

 その晩、りんの家では夕食に赤飯が出る。初めてのお給料日だからと美津(水野美紀)が奮発したのだ。

 そう聞いて、りんは胸元の給料袋にそっと触れる。それから食卓から少し離れたところに美津を連れ出し、給料袋を渡す。

「申し訳ありません」と謝るりんに美津は「最後に勝ち戦にすればよいのです」と動じない。あいかわらず武家の出らしく物事を「戦」に例えている。かつて、結婚は女の戦とも言っていた。

 美津は武家の出らしく、弱音をはかない。ほんとうは、給料が出たらこの家から引っ越すつもりだった。予想より給料が安いことを知ったいま、引っ越しは可能だろうか。

 卯三郎(坂東彌十郎)は、新たな医療ビジネスを考えていて、りんたちに貸していた家をそのビジネスに使いたいと考えていた。話を聞いた美津はちょうど引っ越しを考えているので心配要らないという態度をとっていたのだ。

 取らぬ狸の皮算用だったことが判明したいま、美津はどうするつもりだろうか。やっぱり先立つものはお金なのか。卯三郎もやっぱり情よりもビジネス優先なのか。

 その頃、シマケン(佐野晶哉)は懸命に原稿を書いていた。

「できた」と震える手で原稿を持って感無量。眼鏡を外してはーっとなっている。これまでの彼の顔つきとはちょっと違う感じ。いかにシマケンを素敵に撮ろうか考えているような演出だ。

 別の日、封筒に入れて団子屋の軒先に座っているシマケン。

 チュウ(若林時英)が出てくる。

 今日はりんに会えないと諦めたシマケンはチュウに代金を渡して去っていく。

 すれ違いざまにりんが歩いて来た。

 あーあ、チュウがシマケンに話しかけなければ、シマケンはりんと会えたかもしれなかったのに。

 りんの目の前を通せんぼするように真風(研ナオコ)がふいに現れる。

「今日はちょっと間が悪かったね。順風満帆なときこそ気をつけるんだよ。間違いが正しくて、正しいが間違いのことがある」

 りんに忠告すると占い師は忽然と消える。まるで白昼夢。

 その道を今度は軍人(クレジットによると小川吾郎〈甲斐翔真〉)が歩いてきて、直美とすれ違う。

「行き違い、すれ違い、新しい風が吹いてきたみたいだねえ」と真風。

 りんにはシマケンと虎太郎(小林虎之介)。直美には寛太(藤原季節)という気が合いそうな人物がいる。さらにこの軍人とも関わりが?

 そういえばチュウはりんに好意を持っていたけれど、振られてすぐ諦めてしまったのだろうか。

看護婦の給料は公務員の5分の1!?明治の「月10円」、価値はどのくらい?〈風、薫る第62回〉