添加物が入っているとがんになるのではと心配し、天然由来の表示があると安心する。そんな選び方をしている人に、医師が示す科学的な視点を紹介する。
「天然=安全、人工=危険」は思い込みに過ぎない
スーパーで食品を選ぶとき、「無添加」や「天然由来」という表示を見て、
なんとなく安心感を覚えたことはないだろうか。
一方で、添加物の名前がずらりと並んだ成分表示を見ると、
反射的に不安を感じてしまう人も少なくない。
しかし、この「天然だから安全」「人工だから危険」という発想は、
科学的に見ると正確な判断基準とは言えない。
安全かどうかは、その物質が天然か人工かではなく、
科学的なデータに基づいて判断されるべきものだ。
食品添加物とがんの関係について
「天然=安全、人工=危険」というステレオタイプ的な思考を捨ててください。
安全か危険かは、科学的に判断することが重要です。「食品添加物が、がんを引きおこす」という意見も同様です。
この主張は今のところ正しくありません。なぜなら、がんを引きおこすことが証明された物質は食品添加物としては認められないからです。
逆に言うと、食品添加物として認められている物質は、現時点ではがんを引きおこすとは確認されていないということです。
ただしこれは、食品添加物として認められている物質が、がんを引きおこさないことを保証しているわけではありません。
昔は使用が認められていたのに、その後の研究で発がん性が確認されてしまい、今は使用禁止になってしまった食品添加物はそれなりに存在します。
「食品添加物はがんを引き起こす」という主張がよく語られるが、
現時点でこの主張は正しいとは言えない。
発がん性が証明された物質は、そもそも食品添加物として承認されないからだ。
つまり、現在使用が認められている添加物は、
これまでの研究の中で発がん性が確認されていないものに限られている。
ただし、ここで重要な注意点がある。
「現時点で発がん性が確認されていない」ことと、
「将来にわたって絶対に安全であることが保証されている」ことは、同じではない。
実際に、過去には使用が認められていたものの、
その後の研究によって発がん性が判明し、使用禁止になった添加物もいくつか存在する。
科学的な評価は、常に最新の研究結果に基づいて更新され続けているということだ。
「天然か人工か」より「データに基づく評価」を意識する
この話から見えてくるのは、食品の安全性を判断する際の基本的な姿勢だ。
「天然由来だから安心」と無条件に信じることも、
「添加物だから危険」と一律に避けることも、
どちらも科学的な根拠に基づいた判断とは言えない。
むしろ、現時点での研究結果や承認の経緯を踏まえたうえで、
それぞれの成分について冷静に向き合うことが大切だ。
新しい研究によって評価が変わる可能性があることも理解しておけば、
食品選びの際に過度に不安になることも、逆に油断することもなく、
バランスの取れた向き合い方ができるようになる。
今日から試すなら、「天然」「無添加」という表示だけで安心・不安を判断せず、内容そのものに目を向けることだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
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●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
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そして健康意識の高い人ほど、新しい情報を入手し、自分の生活に取り入れています。
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ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
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本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
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基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ