添加物が入っているとがんになるのではと心配し、天然由来の表示があると安心する。そんな選び方をしている人に、医師が示す科学的な視点を紹介する。

【医師が教える】「無添加のほうが体にいい」と信じている人が注意すべきことPhoto: Adobe Stock

「天然=安全、人工=危険」は思い込みに過ぎない

スーパーで食品を選ぶとき、「無添加」や「天然由来」という表示を見て、
なんとなく安心感を覚えたことはないだろうか。
一方で、添加物の名前がずらりと並んだ成分表示を見ると、
反射的に不安を感じてしまう人も少なくない。

しかし、この「天然だから安全」「人工だから危険」という発想は、
科学的に見ると正確な判断基準とは言えない。
安全かどうかは、その物質が天然か人工かではなく、
科学的なデータに基づいて判断されるべきものだ。

食品添加物とがんの関係について

「天然=安全、人工=危険」というステレオタイプ的な思考を捨ててください。
安全か危険かは、科学的に判断することが重要です。「食品添加物が、がんを引きおこす」という意見も同様です。
この主張は今のところ正しくありません。なぜなら、がんを引きおこすことが証明された物質は食品添加物としては認められないからです。
逆に言うと、食品添加物として認められている物質は、現時点ではがんを引きおこすとは確認されていないということです。
ただしこれは、食品添加物として認められている物質が、がんを引きおこさないことを保証しているわけではありません。
昔は使用が認められていたのに、その後の研究で発がん性が確認されてしまい、今は使用禁止になってしまった食品添加物はそれなりに存在します。

「食品添加物はがんを引き起こす」という主張がよく語られるが、
現時点でこの主張は正しいとは言えない。
発がん性が証明された物質は、そもそも食品添加物として承認されないからだ。
つまり、現在使用が認められている添加物は、
これまでの研究の中で発がん性が確認されていないものに限られている。

ただし、ここで重要な注意点がある。
「現時点で発がん性が確認されていない」ことと、
「将来にわたって絶対に安全であることが保証されている」ことは、同じではない。
実際に、過去には使用が認められていたものの、
その後の研究によって発がん性が判明し、使用禁止になった添加物もいくつか存在する。
科学的な評価は、常に最新の研究結果に基づいて更新され続けているということだ。

「天然か人工か」より「データに基づく評価」を意識する

この話から見えてくるのは、食品の安全性を判断する際の基本的な姿勢だ。
「天然由来だから安心」と無条件に信じることも、
「添加物だから危険」と一律に避けることも、
どちらも科学的な根拠に基づいた判断とは言えない。

むしろ、現時点での研究結果や承認の経緯を踏まえたうえで、
それぞれの成分について冷静に向き合うことが大切だ。
新しい研究によって評価が変わる可能性があることも理解しておけば、
食品選びの際に過度に不安になることも、逆に油断することもなく、
バランスの取れた向き合い方ができるようになる。

今日から試すなら、「天然」「無添加」という表示だけで安心・不安を判断せず、内容そのものに目を向けることだけでいい。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)