6時間労働を実現するために、
効率化を図ることと集中するという2大テーマを掲げた

午後3時には仕事を終えて<br />帰ってもいい会社があった。<br />【企業インタビュー:スタートトゥデイ編】

本田 とはいえ、本当に6時間労働や3時帰社が実現できるのでしょうか?

前澤 6時間労働を実現するために、効率化を図ることと集中するという2大テーマを掲げました。無駄な仕事を排除する。特に僕が出席する会議では資料が過度に多いので会議に資料を極力持ち込ませない。どうしても資料がいる場合は、無駄につくりこまずシンプルにし、内容はきちんと自分の口で説明できるようにしてもらう。会議も1時間を45分にするなど4分の3に短縮。結果的に6時間で帰れるスタッフが続々と増えていき、しかも売り上げも右肩上がりが変わらず、会社の成長は継続しています。

本田 徹底的に無駄を排除したと。

前澤 日本の社会が今、抱えている課題として、労働時間が長いことによる過労死があります。ところが、就職に困っている学生もいて、社会全体の失業率も上がっている。要するに、働き過ぎの人たちと、働く先のない人たちが混在する、よくわからない社会になってしまっているということです。労働時間を短縮することで、世の中を改善できないか、という大きな提言にもつなげていきたいんです。

本田 給料は6時間労働に変わって減らしたんですか?

前澤 給料は一切変えていません。それに3時に帰ることができる率はどんどん上がってきています。会社全体の残業代も、大きく減っているんです。改めて思ったことは、残業は経営者には最も非効率だということです。よくよく考えてみると、疲れ切った社員を、1.5倍の賃金で働かせていることになるからです。仕事の効率が下がっている社員に残業代を払うのは、最も非合理なことだと思います。

 実はスタートトゥデイでも、残業を減らそう、減らそうと何度も言い続けてきたといいます。しかし、減らなかった。ところが、6時間労働にしよう、3時で帰社できる、というメッセージを発信したところ、あっという間に減ったというのです。
 メッセージをポジティブなものにすれば、短時間で終えようという努力をする。前澤氏はそう語っていました。しかも、3時に帰れる。社員は大いに発奮したのだと思うのです。