マジックインキPhoto by Manabu Fushimi

発売から70年以上がたつ今も、荷物の宛名書きや学校の図画工作などさまざまな場面で使われている「マジックインキ」。実は発売当初から今まで中身は変わっていないのだという。

一方で、デジタル化が進む中で、製造・販売元の寺西化学工業は、文具メーカーとして変化も求められている。老舗文具メーカーが描く未来とは。(フリーライター 伏見 学)

>>前編『絶望的に売れなかった「マジックインキ」が大ヒット商品になった「意外なきっかけ」とは?』から読む

70年以上もほとんど変わらないインク
競合製品が出ても負けなかったワケ

 驚くべきことに、マジックインキのインクは、発売から70年以上たった現在までほぼ変わっていないのだという。

「泳いでいる鯉にマーキングして、耐水性を確認したというエピソードが語り継がれているくらい、水への強さには最初から徹底的にこだわっていたのです」(寺西化学工業管理本部の今井孝史取締役)

 主な溶剤にキシレン系成分を使用するこのインクは、アルコール系の製品と比べて耐水性・耐光性が格段に高い。「マジックインキじゃないとダメ」という現場が今でも多数存在する理由がここにある。

発売当時の商品に同封されていた説明書発売当時の商品に同封されていた説明書 Photo by M.F.

 70年以上も変わらないインクが生み出す、「最初から完成されていた」という事実が、このブランドの揺るぎない基盤となった。今井氏はそれをこう表現する。