武田薬品工業の経営を引き継ぐジュリー・キム氏
武田薬品の定時株主総会が今年も近づいてきた(編集部注:本稿は6月24日の総会開催前に執筆)。高禄を食みながら実績は今ひとつのままコストカットだけはやり遂げるクリストフ・ウェバー社長に対し、同社OB有志の株主らで組織する「武田薬品の将来を考える会」が毎年、彼が組織のヘッドとして相応しいのかを糺す場となってきた。だがそれも、ウェバー社長の退任によって今年で最後になるのかと思うと、歯痒さが込み上げてくる。
14年の社長就任から25年3月期までに、ウェバー氏が受け取った報酬総額はおよそ170億円に上る。間もなく開示される26年3月期分のそれを合わせると200億円の大台に限りなく近づこう。だが、その額に見合うだけの働きを会社に示したのだろうかとの疑念がどうしても拭えない。しかし、今年2月には、米ボストン・サイエンティフィックの取締役に就任している。武田を踏み台にしたグレートジャーニーならぬ、現代版わらしべ長者物語を完成させたということか……。
こうした流れに「考える会」も忸怩たる思いがあるのだろう。5月に「医薬品産業2026:規模から創薬力へ」と題する資料をサイト上に公開した。そこでは世界の医薬品業界がM&Aを重ねる規模の競争から、自社の研究基盤が生み出す技術優位の持続性を競う構造へと転換していることを、各種のデータを駆使しながら説き起こしている。そのうえで、このパラダイムシフトに上手く乗ったイーライリリーやロシュなどをプレミアム企業と評する傍ら、引き続き外部リソースに成長の糧の多くを依存する武田やサノフィなどを「ディスカウント企業」と腐すことで、ウェバー社長の力量に改めて不信と疑問の念を投げかけた。
だがそれは、同時に、ウェバー社長から武田の経営を引き継ぐジュリー・キム次期社長に対する「考える会」側からの切なる要望であるとも捉えられよう。シャイアーの買収後、毀損したバランスシートの修復に多くのエネルギーを奪われ、武田は近年、守りの経営に終始せざるを得なくなっている。人心の一新によって、トップの強弁に頼らない確かな成長力を宿す企業へと変貌して欲しいと願うことは、例え、出身母体がすっかりバタ臭く変わったとしても不思議なことではあるまい。







