Photo by Masataka Tsuchimoto
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。
今年6月公開の映画「国宝」。今も上映中だが、興行通信社の調べによると10月26日時点の興行収入は166億5000万円に達し、歴代1位をたたき出した「踊る大捜査線THE MOVIE2」の173億5000万円に迫る。
歌舞伎界出身ではない主演2人が織りなす「曾根崎心中」の素晴らしさなど国宝の魅力は多々あるが、そのひとつが「血か才能か」との問いかけだろう。
ご存じ歌舞伎は名跡を継ぐ各家による世襲がもっぱら。国宝は、そんな「血」とは縁もゆかりもない男子が歌舞伎に足を踏み入れたところから物語が動き出す。問題は彼が芸の才能に恵まれていたこと。その彼が生涯の友にしてライバルとなる、名門の血を引く御曹司との間で紡ぐ出来事が物語を貫く。
強引を承知で言えば、製薬業界でもその問いかけは成り立つだろう。すなわち「血=資本」か「才能=業績」かだ。
善し悪しはともかく、現在の国内製薬業界は資本、すなわち「内資」か「外資」かを重視する。それ故、実質的に米国を拠点とする製薬会社となったにもかかわらず、武田薬品が業界団体の会長に鎮座し、日本発の新薬が相次ぐのに、スイス・ロシュが6割近い株式を握っていることから中外製薬は現状、トップに立てないのである。







