先ほど例に挙げた、50人の部下を持つある部長はこう言っていました。
「そりゃ、課長に任せられれば、私だって戦略策定などに取り組みたいですよ。でも課長も兼務しているのでね。結局、僕が50人の労務管理をして、それぞれのメンバーの仕事を追いかけて、適正な評価もしなければならない。しかも時々プレイングもやっているんです。これじゃ俯瞰的なマネジメントなんて無理ですよ」
課長どころか部長・本部長さえも、現場の実務から離れることができず、中長期的な視点で動くことなど夢のまた夢――激務によって、こうした非常に近視眼的な働き方が定着しつつあるのです。
現場のトッププレーヤーが
管理職に昇進する大きなリスク
■組織・人事の問題(2)論功行賞人事による構造的欠陥
現場のトッププレイヤーが昇進して部長・本部長になることのリスクについて、より具体的に解説していきます。
現代の日本で「大課長」が激増していることの一因に、すでにさまざまな業界で指摘されている「論功行賞人事」があります。時代にそぐわないこの昇進ステップは、もはや「『大課長』量産システム」としての機能さえ持っています。
トッププレイヤーが評価されて管理職階層に上がっていくということは、それ自体が、会社の制度に問題があることを示していると言えます。組織内でマネジメントの役割定義がなされておらず、それぞれの役割に合わせた、適切な評価や人材登用ができていないのでしょう。そのため、傍目にもわかりやすい活躍をする人たちを任用するしかなくなっているのです。
この組織運営はシンプルでわかりやすいようですが、選択肢が非常に少ない構造にもなっています。どれだけ現場が好きな人でも、報酬を上げたいと思ったら、管理職を担って基本給を上げたり、管理職手当を受け取ったりするしかありません。
また、プレイヤーとして認められた先にこそ「管理職への昇進」があるため、現場に強い思い入れを持ったままマネジメントにシフトする人も多く、「大課長」予備軍の生産にもつながっていると言えます。







