役立つ情報だけを届けるのは至難の業
精神科の専門知識を、不特定多数の方に分かりやすく、かつ正確に伝えることは非常に困難な領域です。発達障害は多くの方が関心を持ち、悩んでいる方も多い分野だからこそ情報が求められていますが、悪影響を出さずに役立つ情報だけを届けるのは至難の業です。
だからこそ、私のYouTubeやSNSでの発信は、アカデミックな病気の説明よりも、「こういう考え方をすると楽に生きられますよ」という内容をメインにしています。
患者さんが喜んでくれたり、見てくれた方が少しでも楽になったりする「言葉の力」を私は信じています。「これなら自分にも当てはまる」「こういう考え方を取り入れてみよう」と、皆さんにとって一番無難で、かつ役に立つ形でお届けしたいのです。
診断の本来の目的は「適切な支援」
では、なぜこれほど曖昧で難しい診断が存在するのでしょうか。それは「レッテルを貼るため」ではなく、「医療的なサポートや支援を行うため」です。
子どもの発達障害であれば教育面のサポートが必要ですし、大人の発達障害(特にADHD領域)であれば、症状を改善する薬物療法という明確な治療法が見つかっています。出口となる支援や治療法が存在するからこそ、診断する意義があるのです。
情報と上手く付き合い、心を楽にするために
「自分にその傾向があるかもしれない」と思い、医療機関を受診するきっかけとして情報を活用していただくのは良いことです。最終的には医師がしっかりと診断と対応を行います。しかし、自分や他人に「あの人はきっとそうだ」とレッテルを貼るために使うのは好ましくありません。
本日は、「発達障害の診断は非常に難しいものである」という前提を知っていただきたく、お話ししました。難しいからこそ、情報が錯綜しやすく批判も生まれやすい分野です。皆様には、情報を上手く活用しつつ、心が少しでも楽になるような考え方を取り入れていただければと思っています。




