「相談しやすい上司ほど、いい管理職だ」。そんなイメージを持っていないでしょうか。しかし、部下の相談に何でも答えてしまう上司ほど、部下の成長を止めてしまうことがあります。40代になっても昇進できない人には、「部下を助けているつもり」で、実は責任を奪ってしまう共通の特徴があるのです。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

40代、昇進させてはいけない社員の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

昇進させてはいけない社員

 部下から相談されると、つい答えを教えてしまう。

「こうしたほうがいいよ」
「私ならこうするかな」

 そんな上司は、一見すると親切で面倒見がいいように見えます。しかし、その優しさが部下の成長を止め、組織の成果を下げてしまうことがあります

 では、40代になっても昇進させてはいけない社員とは、どんな人なのでしょうか。

 結論から言えば、「部下の責任まで奪ってしまう人」です。

ワースト1:「何でも相談に乗る人」

リーダーの仮面』という本で私は、次のように書きました。

上司が相談に乗っていいことは、次の2つです。
1つめは、「部下の権限では決められないこと」を決めるとき。
2つめは、「部下が自分で決めていい範囲なのかどうか」を迷ったときです。
――『リーダーの仮面』より

 多くの人は、「相談されること」がいい上司の証拠だと思っています。
 しかし、相談には線引きがあります

 上司が判断すべきことと、部下自身が判断すべきことは違います。
 その境界線を理解できない人は、管理職には向いていません

部下の仕事まで奪ってはいけない

1つめは、たとえば部下が持っている予算以上の施策を実施したいときの相談です。
2つめは、たとえばお客さんへのクレーム対応の際に、「上司を出せ」と言われたとします。現場対応の判断は、すべて部下に任せたとしても、自分の上司を動かす権限があるかどうか迷うことになるでしょう。その際の相談は受けて、自分が出るかどうかの判断をします。
相談に乗ってはいけないのは、明らかに部下の権限で決めることができる内容です。
――『リーダーの仮面』より

 リーダーの役割は、部下の代わりに仕事をすることではありません。
 部下の権限で判断できることまで口を出せば、部下は自分で考えなくなります

「どうせ上司が決めてくれる」

 そんな組織では、人は育ちません。

答えを教えるほど、部下は成長しない

「このお客様には、どのような提案をすればいいでしょうか?」と聞かれたとします。
このときに、「こうすればいいんじゃない?」と言ってしまうと、部下の責任は、「上司の言うとおりに提案すること」に切り替わってしまいます。
「それは、あなたが決めることだから、あなたがお客様にとって一番いいと思う提案をしてください」と突き返してください。必要以上に相談に乗ることは、部下の責任範囲を狭くし、言い訳できる環境を作ることになるのです。
――『リーダーの仮面』より

 ここが最も重要なポイントです。
 答えを教えることは、親切ではありません。

 部下が失敗したとき、「上司に言われた通りにやっただけです」と言い訳できる環境を作ってしまうからです。
 リーダーは、部下から情報を受け取り、必要なら判断をする。

 しかし、部下が決めるべきことまで奪ってはいけません
 その責任を本人に返すことこそ、本当の育成なのです。

 40代になっても昇進させてはいけない社員。
 それは、部下の相談に何でも答え、責任まで引き受けてしまう人です

 優秀なリーダーは、相談の境界線を理解しています。
 上司が決めることと、部下が決めることを明確に分けるからこそ、人も組織も成長するのです。だからこそリーダーは仮面をかぶりましょう。

(本記事は、書籍『リーダーの仮面』の一部を抜粋・編集したものです)