病気だったら、余命は知りたい?→看護婦の「意外な答え」が深すぎて、ぐうの音も出ない〈風、薫る第70回〉

りんと山本の病院、脱出作戦

 ここからが、見ていてつらい展開になる。

 ある日、山本宛てに電報が届く。それはテイが発熱して倒れ、看病に行けなくなったという報だった。

 弱り目にたたり目。テイは看病の疲れがたたって倒れてしまったのかもしれない。あるいは、夫のことを思いすぎてメンタルに支障をきたしたのかも。

 山本がたったひとりで病室で過ごしているうちに、花火の日が来た。

 いったん家に帰りたいと今井(古川雄大)に頼むが、許可がおりるわけもない。

「もう少し体調が元に戻ってからでないと。帰宅した途端、体調が悪化することも考えられます」

 山本は見るからに具合が悪そうで立ち上がるのも難しそう。今井の判断は当然だ。それでも食い下がると、今井は言い方を変える。

「我々は最善を尽くしています。今帰宅したら、命の保証はできません」

 最初の返事も、そのあとの返事でも嘘はついていない。医者は言い方に工夫はするが、嘘をつかないのだと感じる描写だ。

 今井はりんにはもう少しはっきり言う。

「このままだともって、あと1、2週間だろう」「気をしっかり持つよう励ましてやってくれ」

 ここにも嘘はない。

 主治医が話を聞いてくれないので、山本はりんに、家に連れ帰ってほしいと頼む。このまま死んだら、テイが自分を責める。そのことを考えると死んでも死にきれないと言うのだ。

「最後にひとつ、嘘をつかせてほしい。助けてください」

 まっすぐすがる山本に、りんの目は揺れる。

 だが、ついに決意して――。

 人力車に乗るりんと山本の上空で花火が爆ぜる。なかなか劇的なところで来週につづく。連続ドラマにはクリフハンガー(引きになる印象的な仕掛け)が必要とはいえ、患者の命の行方を引きに使用するのはいかがなものか。エンタメとテーマのバランスについてちょっと考えてしまう。

『風、薫る』では千佳子(仲間由紀恵)や小野田(宮地雅子)のエピソードでもそれをやっていた。千佳子は無事に手術が成功したが、小野田は治療の甲斐なく亡くなった。山本はどうなる?

病気だったら、余命は知りたい?→看護婦の「意外な答え」が深すぎて、ぐうの音も出ない〈風、薫る第70回〉