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今回は本書に共感した社長の話。仙台を拠点に美容・コンサル等をしている小田原宗弘社長に「人間関係のコツ」を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

職場にいる人間関係で疲弊しない人の「頭の中」では何が起こっているのか?Photo: Adobe Stock

「全員と仲良く」を目指すと、誰とも深くなれない

――仕事の人間関係に疲れる、という人は多いと思います。誰とでもうまくやろうとして、気づいたら消耗している。小田原さんは、こうした悩みをどう見ていますか?

小田原宗弘(以下、小田原):それは、誰とでも深く付き合おうとしているからだと思います。仕事で関わる人は本当に多いですから、全員と同じ熱量で向き合っていたら、消耗するのは当然なんですよ。

――確かに、「全員と仲良く」を無意識に目指してしまうところはあります。

小田原:そこをまず手放したほうがいい。
私は、価値観が同じ人たちで固めていくのが一番だと思っているんです。
すべての取引先や同僚と深い関係を築こうとしても無理だし、そもそもその必要もない。だから、長く付き合う相手は意識的に選んでいます。

――「選ぶ」というのは、少しドライな感じもしますね。

小田原:そう聞こえるかもしれませんが、全員と表面的に仲良くするほうが、結局は誰とも深くなれないんですよ。
エネルギーは有限なので、本当に大事にしたい相手に集中したほうがいい。
問題は、その「本当に大事にしたい相手」をどう見極めるか、なんです。

自己開示は「テスト」でもある

――どうやって見極めているんですか?

小田原:自分から少しだけ、本音を出してみるんです。
質問するというより、自分の話をするイメージですね。
「この間こんな失敗をして」とか、「社員に怒られたんだよね」とか。そういう、ちょっとカッコ悪い話を、さりげなく出してみる。

――失敗談を、わざと出すと。

小田原:そうです。それで相手がどう反応するかを見ています。
「あ、私もそういうことあります」と乗ってきてくれる人とは、深く付き合える可能性がある。逆に、反応が薄かったり、すぐ別の話に流したりする人は、「表面的な話しかできない人なんだな」と感じる。それで悪いというわけではないんですが、深い関係にはなりにくい。

――本音にどう反応するかで、相手の人物が見えてくる。

小田原:一瞬でわかります。何時間も話す必要はないんです。
本音をひとつ出して、相手がどう返してくるか。
それだけで、価値観が合うかどうかの輪郭がはっきり見えてくる。
表面的な会話をいくら重ねても、相手のことはわからないままなんですよ。自分の失敗談を言えるかどうかが、価値観が合う人を見極める一つの条件です。

自己開示が苦手な人はどうすればいい?

――とはいえ、立場上、自分の失敗を話しにくい人もいると思います。ビジネスパーソンが取引先に弱みを見せるのは、ハードルが高いですよね。

小田原:それは確かにあります。でも、大きな失敗を語る必要はないんですよ。
「最近こういうことで悩んでいて」とか、「実はこの仕事、苦手意識があって」くらいの軽さでいい。自分のすごい話ばかりしていると、相手も完璧な顔しか見せてこないんです。だから関係が深まらない。

――小さく、ひとつ本音を混ぜる。

小田原:それだけで十分です。
重要なのは、自分の本音を全部さらけ出すことではなく、相手の「反応」を見ること。本音の小さなジャブを一つ打ってみる、と思えばいい。乗ってくる人がいたら、その人が長く付き合うべき相手です。

――割り切ってしまうのに、抵抗を感じる人もいそうです。

小田原:私は、それはむしろ誠実な向き合い方だと思っています。
誰にでも同じ顔を見せるほうが、相手にとっても失礼ですから。価値観が合う人とは深く、合わない人とは適切な距離で。そう割り切ったほうが、お互いに気持ちよく仕事ができる。森武司さんの『スタートアップ芸人』にも、「仲間を見極める」という章があります。仕事の人間関係に時間を使いすぎていると感じる方には、参考になるかもしれません。